novel
花散る香りの残り様
※日乱(大人)ですが一部ギン乱ぽいとこあるので注意。ギンはすでに故人です。













毎年変わらないその習慣の通り、乱菊はそっと金蓋花を手向けた。
金蓋花。花言葉は「絶望」
隊花は隊主が変わるごとに変わる。ずっと変わらないのは十一番隊の鋸草だけだ。

――あれから百年。
三番隊の隊花がかつて金蓋花だったことを知らない隊員すらいる。



笑いながら絶望の鎌をふりかざす、
そんな男。



――ねぇ、あんたは。
何に「絶望」していたの?



――その答えは百年経った今でも見つからない。





「乱菊」

不意に彼女を呼んだ声音に、ゆっくりと振り向く。そこには予想通りの人物がいた。
日番谷冬獅郎。百年もの間に彼は成長した。すくすくと背が伸び――やがて「彼」と同じくらいの身長になり、乱菊を見下ろすようになった。
似ているようで違う白銀の髪。
同じ、呼び名。

「帰るぞ」
迎えに来た日番谷はしかし何も言わずに、ただくしゃりと乱菊の髪をかきまぜてそれだけ言った。先を歩くその広い背中に、涙が出そうになる。

あなたは何も言わない。何も聞かない。
それがどれだけあたしの心を癒して――そして同時に傷つけているかなんて、あなたは知らないでしょう。



乱菊は大きく息をひとつ吸って、立ち上がる。軽く駆けて彼の隣に並んだ。

「冬……じゃなかったたーいちょ、」
「帰るぞ」
「まだ何も言ってませんよー」
「おまえの言うことは大体想像がつく。仕事だ」
「やだ!愛の以心伝心!」
「おまえなぁ……」

あきれたように言って、けれど瞳は乱菊を見て優しく笑う。
甘い胸の疼きと、同時に不安が首をもたげる。



あたしに背中を見せないで。その背中はあたしが守るべきものなのだけれど。


どうか、あなただけは、
あたしを、
置いていかないで。
おいて逝かないで。






BACK

一万打企画。朝霧様に捧げます。
大変遅くなってすみません…まだいらしていることを願って。


「大人日乱で切甘」とのことでしたが……これ……切ないというより暗い?うわわぁすみません。
さらに申し訳ないのが…勝手にギンちゃん殺しちゃって!すみません!朝霧様がギンちゃんファンじゃないことを祈ります←

今の本誌は乱菊さんの行方が不明だそうで(笑)こう↑なりかねないんじゃないかと…
でも乱菊さん好きなんで幸せになって欲しいです。彼女は強いけど、同時に弱い人だとも思います。中に脆さを秘めているというか。
それをかっこよく受け止める隊長が希望です!←


リクエストありがとうございました!


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!