novel
雨色オーバーラン
しとしとしと…………。
静かに静かに、雨が降る。
「あーあ……」
やちるは口を尖らせた。
このところ毎日雨だ。イコール、外で遊べない。
「早くやめばいいのに……」
空を見上げるが、あいかわらずの薄暗い空。やみそうにない。
「つまんないっ」
やちるは頬をふくらませて、小石を蹴る真似をした。ここ最近の雨続きで、室内でできる遊びはもう飽きてしまった。



つるりんの頭に落書きするのも、
ゆみちーの羽根をみょいーんってするのも、
やっちゃったもん!
鈴をりんりんやっても、剣ちゃんはまったく起きないし。



要は、かなり暇でかなり不機嫌だった。
「あ」
不意に見つけた人影。
やちるはぱあっと顔を輝かせた。
「ひっつー!!」
十一番隊舎の廊下を歩く人影。このところ見慣れた顔ばかりでつまらなかった。
さっそく見つけた人物に駆け寄る。その手には大量の書類があった。
「ひっつー、お仕事?」
「決まったんだろ」
そっけない日番谷に(いつもだが)やちるはぷうっと頬をふくらませる。みんなぜんぜんかまってくれない!
「……お仕事なんてみんな、やめちゃえばいいのに」
「あ?」
「つまんない、雨なんて」
日番谷のため息が、やちるの桃色の髪を揺らした。
「…………今回だけだぞ」
日番谷はそう言って右手をスッと上げた。


雲間が切れて、光が差す。


「わあっ!」
やちるはパアッと顔を輝かせた。晴れた!
「ひっつー、ありがとう!」
勢いよく外へ飛び出したやちるに、「こけんなよ」という声が背後からかかる。
――最悪な日から一転、今日はいい日になりそうだ。










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日やちって世間的にはどうなんでしょ。あんま見ませんが。
絶対かわいいと思うのです。ちびっこコンビ!


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