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続・異能審神者の憂鬱
加州「はーキレそー」
「政府の方に迎えに来てほしい、だって」
「はーキレそー」
「清さんずっとその状態じゃん、一緒に行くのに大丈夫?」
「……………え?」
ぽかんと加州は主を見る。死織は不思議そうに首をかしげた。
「新選組の刀がいるんでしょ?あと山さんと、小夜くんも行くよ」
「………ああ、堀川と歌仙か」
加州はぽんと手を打ち、優しい目で死織を見つめる。彼女は彼女なりに来歴を調べ、引き取られる彼らが警戒しない刀を選んだのだろう。それを嬉しく、また誇らしく思う。
だからこそ。
(主に傷なんかつけたら、ただじゃおかないからな………)
やや物騒なことを考えつつ、加州は他の刀に声をかける主を眺めていた。
政府に同行するメンバーがそろい、死織はゲート前で集まった刀剣たちに笑う。
「じゃあ、行ってくるね」
『お気を付けて』
全員が恭しく頭を下げるのを見て苦笑し、彼女はゲートの中に足を踏み入れた。一瞬のまぶしさのあと、目の前に担当役人の矢切が現れる。彼もまた、丁寧に頭を下げた。
「ご足労いただき、ありがとうございます」
「いえいえ。さっそく案内してもらえますか?」
「もちろんです。こちらへ」
促す矢切のあとに続き、死織と加州たちは政府内を歩き出す。しばらくして到着したのは一枚のドアの前。うっすらとした敵意がその向こうからただよってくる。
矢切は自分が前に立ち、ドアをノックした。
「刀剣様方、審神者様をお連れしました。………入ります」
ゆっくりと、その扉が開かれた。

不意打ちで放たれた刃を、止めてくれたのは小夜くんだった。甲高い金属音と共に、その切っ先は弾かれる。一気に警戒を強めるみんなを尻目に、俺は大きく息を吐いた。ーーーその刃は正しく、俺の首筋を狙っていた。
「………お小夜……………?」
「お久しぶりです、歌仙さん」
「やっほー、安定」
「清光………!!」
「兄弟………」
「ようやく会えたな、兄弟」
ピリピリした空気の中、連れてきたみんなが縁のある刀たちと言葉を交わす。頃合いを見て、口を開いた。
「初めまして、審神者の死織と言います。どうぞよろしく」
「………よろしくするつもりはないよ」
リーダー格の歌仙兼定が俺を睨む。それに対しにっこりと笑った。
「別に構わんよ?礼儀だからこちらは名乗っただけだし」
「は………?」
はてさて、俺が何も考えずに君たちに会うとでも思ったかい?
残 念 だ っ た な !!
パンッ!!と高らかな柏手を一つ。それだけで彼らは顕現を解かれ、本体である刀が床に転がった。それをみんなに回収してもらい、ゲートへ向かう。
隣を歩く清さんが問いかけてきた。
「どうするの、主?」
「とりあえず本丸に行かなきゃ話始まらないし、それまでは刀でいてもらいましょ」
「話聞かなそうだったしな」
山さんがバッサリ切り捨て、思わず苦笑を浮かべる。まぁ意識はあるからいろいろ策も練れるでしょう。
燭さんのおやつは何かな、と思いながらゲートをくぐった。

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