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異能審神者の憂鬱
穏やかな
昼を過ぎても審神者は起きてこなかった。
気まぐれに手入れ部屋へ足を向けたら、柱に背を預けて室内を見つめている三日月がいた。声をかけたら彼はこちらへと視線を向ける。
「ああ、山姥切か」
「あんたは何をしてるんだ?」
問いかければ、いや、と歯切れ悪く答えて室内へ視線を戻した。三日月の隣に立って中を見やれば、こちらに背を向けた審神者が丸くなっていた。先程とは体勢が少し変わっている。そんな審神者のどこに興味を引かれたのか、三日月はじっと背中を見つめていた。
「……あんた、珍しいな」
この審神者で実は3人目だ。俺達をこんなにした1人目は政府に連行され、中継ぎだという2人目は俺達に接触せず本丸だけ整えて帰って行った。そして、送られてきたのがこの審神者。幼さの残る、まだ20歳になったばかりの女。自分達には審神者など要らないと、そう思った三日月の何にこいつが引っ掛かったのか。
俺の主語を欠いた言葉に、三日月は困ったように首を傾げた。
「俺にも、よくわからんのだ」
「……そうか」
その後は2人共何も言わず、燭台切が昼餉に俺達を呼びにくるまで、審神者を見つめていた。

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