異能審神者の憂鬱 楽園の天使 僕は目の前の光景に身を震わせながら、隣に立つ長谷部へと声をかける。 「………長谷部」 「なんだ」 「楽園がある……………!」 隣から深いため息が聞こえてきたけど、無視だ無視。頭の片隅でそんなことを考えながら、僕は目の前の光景に釘付けになっていた。 我が本丸にいる短刀全員の真ん中に主がいて、それぞれ身を寄せ合うようにしてお昼寝をしていたのだった。日光がちょうど主を照らしていて、もう、もうなんか。 「天使がいる………!」 空から天使が舞い降りた!主可愛い、超可愛い!!かろうじて膝を付かずに悶えていると、ふと身じろいだ主が目を開けた。まだはっきりと覚醒していない黒い瞳が、僕らを映す。うに、と声を上げ、主はゆっくりと体を起き上がらせた。 そして眠そうに目をこすりながら、爆弾発言をしてくれたのだった。 「………゙青お兄ちゃん゙、゙長谷お兄ちゃん゙、どしたの?」 あ、駄目だ萌え死ぬ。 そう思った瞬間、隣の長谷部と共に声も出せずに崩れ落ちた。音に驚いて飛び起きた短刀達が見たのは、床で悶える僕らを不思議そうに見ている主だったそうな。 [*前へ][次へ#] [戻る] |