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異能審神者の憂鬱
死「ブラックめんどい」
太郎太刀、次郎太刀、蛍丸、鶴丸国永、鶯丸、獅子王、鳴狐、岩融、今剣。
大太刀3口、太刀3口、打刀1口、薙刀1口、短刀1口。
政府から送られてきた資料を読み終え、死織はため息をつく。………何よりも気になったのは、前任が自分と同じ女性だったこと。性的虐待はなかったからまだいいようなものの、どう頑張っても心を開いてくれる気がしない。よし死のう。
こきこきと首を鳴らしながら彼女は立ち上がり、自室から外へ出る。それを部屋の前で待っていた短刀達が出迎えた。
「主様終わったー?」
「おー。死亡フラグもきっちり立ったで」
「んなもん、柄までぶっすり通してやるよ」
「………頼もしすぎる」
苦笑を浮かべ、右手に乱左手に五虎退と手を繋ぎながら歩く。他の短刀達はわらわらと死織に群がり、歩きにくいよーだの転ぶなよーだの注意されていた。
死織の斜め後ろに控え、様子を見守っていた薬研が、弟達と戯れる彼女に問いかける。
「それで、どんな感じだ?」
「んー、ちょっと重い。まず前任が女、この時点で俺諦めた」
しれっと諦めた宣言。思わず薬研が苦笑すると、だってさぁ、と自己弁護を始めた。
たった一言だったが。
「ブラックめんどい」
「実に申し訳なかった」
真顔で薬研が謝ると、噴き出した死織が肩を震わせて振り返る。不安そうに自分を見上げる短刀の頭を撫で、心底楽しそうな顔で笑った。
「ええんよー、別に。鍛刀できない俺は、どうやったって落ちこぼれになる。そんな俺んとこにレア刀ぶっ込むんだから、何か考えがあるんでしょ」
審神者は政府の道具、という考えを死織は持っている。人手不足なのは否定しないが、だからといって審神者が代わりのきかないものである必要はない、と。使えない首があるのなら、取り換えてしまえばいい、と。
「政府が俺に何を求めてるのかは知らん。興味ない。だから俺は自由にする。そこに文句は言わせない」
順々に短刀の頭を撫でて、最後に薬研の頭に手を乗せた。目を細め、慈しむように笑う。
「君らば家族゙だ。過去がどーたら前がどーたら、そんなことは関係ない。ただ君らがここに在ること、それが重要だ」
髪の間を指が滑っていく。薬研はその感触に目を細めて、照れたように笑った。
それを満足そうに見て、さ、と死織は子供達を促す。
「おやつ食べに行くぞー。その後みんなで昼寝ー」
『はーい!』
元気よく返事をした彼らに、死織は優しげな笑みを向けた。

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あきゅろす。
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