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異能審神者の憂鬱
月下の旋律
悪夢の気配を振り切り、死織は飛び起きた。悲鳴を飲み込み、布団に座り込んで肩で息をする。
現在、青江達を死織に慣れさせようと大広間で雑魚寝。最初の頃と同じだねと笑いながら、死織は内心不安だった。そして、それは的中する。
慣れた気配と新しい気配。これで片側に燭台切達のうち誰か1人でもいたなら違っただろうが、見事に青江と倶利伽羅に挟まれた。そして―――蘇る、悪夢。
死織はため息をつき、立ち上がった。……こうなったらもう、眠れないことを知っている。静かに部屋を出て自室へと足を向けた。
ふと空を見上げた死織の足が止まる。
空に輝くのは、見事な満月。中庭には桜が咲き乱れ、実に幻想的な景色を作り出していた。は、と息を吐き出し、死織は目を細める。
「すごい………綺麗だ」
素足のまま地面に降りて、桜に歩み寄る。そっと幹に手を触れて、頭上を振り仰いだ。
わずかに苦い笑みを浮かべて、呟く。
「せめて夢を見るなら、こういうのを見たいよね。……世の中って、理不尽」
くすりと笑い、死織は優しく幹を撫でた。
はらはらと舞う花弁を見つめていた彼女は、ふと思い付いたように口を開く。―――彼女は、知らない。
刀剣達が目を覚まし、自分の様子を伺っていたことを。そんなことは知らない死織は、ただ旋律を歌った。

幾星霜 刻む轍を 迷い歩み続ける その先は 月影に舞う満開の 永遠に咲き誇る 恋の華―――

歌詞を歌い上げ、死織は微笑む。月に照らされた桜吹雪の中、彼女は空が白くなるまでそこに立っていた。



次回予告!
「第二次ブラック刀剣受け入れです」
「\(^q^)/オワタ死のう」
『主ー!!』

「君に従うつもりはない」
「おkやで!むしろ殺りに来てくれてもよろしくってよ!」
(ファッ!?)

「SAN値削れた辛い前任絶許」
『主が貴い』

※意訳の可能性があります、ご了承下さい。

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あきゅろす。
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