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異能審神者の憂鬱
その頃、審神者は
本丸広いよー、と思いながら小走りで移動。今日は確か、馬当番にしてたはず。
「着いたっ!……って、ぴぎゃあっ!?」
角を曲がろうとしたらお馬さんとごっつんこしそうになったおっ!?びっくりして一歩下がるのと同時に、馬の手綱が引かれて蜻蛉さんが顔を出した。若干、焦っている。
「主、大丈夫ですか!?」
「うぃ、びっくりしただけだから。でさ、同さ……わっ」
同さんいる?と聞こうとしたら体が浮いた。……俺、子供の時以上に抱き上げられてる気ぃすんだけどやぁ。あと俺、もう未成年ですらないんだけど。うみみ、と思いながら顔を見て抗議。
「同さん、いきなり持ち上げるのやめてやぁっ!びっくりした後にびっくりしてたら心臓もたんよ!!」
「あんたこそ変な悲鳴上げんな。……大丈夫か?」
「………あい」
過保護だ。過保護やでみんな。いや、俺が目を離したら不安な奴だってわかってるんだけど。むーとすねて膨れていたら頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。子供扱いすんなし!!
………あ、本題忘れるところだった。
「同さん、あのね」
「おう、どうした?」
「出陣の部隊長やって。んで、ブラック達率いて戦場出て」
「………いつだ」
「明日、お昼の後に。蜻蛉さんは、同時に燭さん達つれて遠征行って」
やれーやれーって政府煩かったん。なんでお前はそんなに不定期なんだって怒られました。だってやりたくないんだしー。資材なんて手入れぐらいにしか使わないから貯まる一方だし。
仕事終わった、乱ちゃん探してお昼寝しよ。なんて思ってた俺の目線が自分の高さに戻る。あれ?と首をかしげた俺の前に同さんがしゃがんだ。

目線の高さを合わせた俺を見て主は不思議そうに首をかしげた。だが、俺にだって説明を聞く権利くらいはあるだろう。
「何があってそんなことになってんだ?」
「んっとねぇ。にっかりさんとへし切さんと薬研さんが来て、出陣したいって言ってきた。政府からも突っつかれてたので許可。こっちから隊長出すから残りよろ。まる」
ものすげぇ簡単な説明をして、主はふっと申し訳なさそうに笑った。ああ、違う。
そんな顔を、見たい訳じゃねぇのに。
「勝手に決めてごめんね?でも、その場で答えといた方があとが楽かな、と思って。……ごめん」
「主が謝る必要はねぇ。そういうことなら、了解した」
少し手荒に頭を撫でる。頭揺れるよ!!と言いながら主は嬉しそうに笑った。そう、これだ。
いつだって俺達は、こちらの顔が見たい。俺が乱した髪を蜻蛉切が手で梳いて直し、主は蜻蛉切を見上げて礼を言った。
無邪気な笑みを、守ってやりたいと思う。平穏な日々を、与えてやりたいと思う。ただこの存在があること、それだけが理由だ。
その後、馬になつかれた主が嬉々として世話をしようとするのを、蜻蛉切と2人で全力で止めた。危なっかしいだろうが!!

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