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異能審神者の憂鬱
自己紹介
「予想外すぎなんだわ!!」
怒り心頭、といった感じの女性の声が響く。たぶんこの本丸の審神者で、その彼女の周りにいる刀剣達は配下だろう。………太刀が4口、打刀・槍・短刀が1口ずつ、か。
「主、ちょっと落ち着いて……」
「主様ー、深呼吸だよー」
「………。うん、大丈夫です。いやだってよ?まさか刀のままごたいめーんとか政府馬鹿じゃないのか死ね」
ついでに前任も死ね。
ぼそりと呟かれた物騒な言葉に少しだけ戸惑う。ため息のすぐ後に柏手が2回、響いた。
「あはりや、あそばすともうさん、あさくらに。―――付喪神よ、降りましませ」
ふわりと意識が一瞬遠くなり、次の瞬間には血の通った体の中にいた。軽く驚きを感じながら目を開けると、僕の胸より少し低い位置に頭がある審神者が、僕をきょとんと見上げていた。……女性、というよりも、女の子、だろうか。
彼女はじーっと僕を見つめて、それからぷくーっと膨れた。あれ、なんだろ……。
可愛………い?
「初めまして、審神者です。とりあえず自己紹介お願い出来ますか」
やや膨れつつ、入り口に近い位置に座った彼女はそう言った。彼女が審神者で間違いないらしい。が、どことなく幼いような。
少し戸惑っていると、彼女はことりと首をかしげて後ろを振り向いた。
「はい、自己紹介どぞ」
「三日月宗近だ。よろしく頼む」
瞳の中に三日月を浮かべた男が微笑む。ああこれが三日月かと複雑な視線が彼に集中した。その隣に座る白い髪と赤い瞳の青年が口を開く。
「小狐丸。私が小!大きいけれど」
「山姥切国広だ。霊刀の写しだが、国広の最高傑作なんだ」
「燭台切光忠だよ、よろしくね」
「蜻蛉切です。恐れながら三本槍の称号を戴いています」
「同田貫正国。主に何かしたらたたっ斬るぞ」
「ボクは乱藤四郎。珍しい乱れ刃なんだよ!よろしくねっ」
レア2本か。ちょっと遠い目をして、彼女と目を合わせる。
「僕はにっかり青江。ちょっと変な名前だけど、にっかり笑った女の幽霊を斬ったのが由来だよ」
「何それすごい」
真顔で言われ、少し笑ってしまった。ああ、前の審神者とは大間違いだ。
一通り名前を言って、全部覚えられるか不安そうな顔をした審神者の肩を燭台切が軽く叩く。んー、と唇を尖らせて彼女は言った。
「君らのことを考えて、しばらく出陣とか遠征は命じないから。ゆっくりするといいよ。内番とかルナさん達に教えてもらってやぁ」
「………るな?」
「三日月さん。月はギリシャ語でルナ。だからルナさん。山さんー、燭さんー、蜻蛉さんー、同さんー、こぎさんー、乱ちゃん」
1人1人を指差し呼び名を教えていく。それから審神者は立ち上がった。
「それじゃー解散!乱ちゃんには本丸案内を頼むー」
「はーい!」
乱が元気よく手を上げる。審神者は僕らに手を振って退出した。

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あきゅろす。
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