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トリップ小説 完結
違い
さて、これはいったいどういうことだろう。
「お れ が 春織を連れて帰るんだ!」
「何を言っているんだい、僕に決まっているだろう?」
「いーや、俺が連れて帰らせてもらうぜ。そんでもって船に乗せる」
「……………」
おいお前らいい加減にしろよ(激怒)。
何火花バチバチさせながら人の意見丸無視で話してんだよ。こちとら嫌だっつってんだろ。聞けよ。
「こた、許可する。あの3人殺れ」
「(コクリ)」
頷いてすぐに仕事に取りかかってくれるこたが大好きです(真顔)。伊達ちゃんとちかちゃんの悲鳴が聞こえたけど無視だ無視。
今日も我が家は平和です。
「春織貴様あぁぁぁぁぁっ!!」
「うーるっせ!はんべさん冷静に処理してんだろうがよ騒ぐな!!」
何淡々とこたの攻撃受けてんだよ!!病気が治ってから元気が有り余ってるんですかねぇ!?
俺はため息をつき、ソファーの上で膝を抱える。……何度でも言うが、こちとら連れ去られるつもりは微塵もないんだわ。それを勝手に俺が連れ帰るだのなんだの………。
ふざけてんのか。
「本人達は大真面目だと思うよ」
「さっちゃん心読まないで」
心の声がだだ漏れとか何か辛いものがあります。マジで。
俺は現代人で、彼らは戦国武将だ。そもそも生きる世が違って、平和ボケした俺では彼らの足手まといにしかならない。彼らの手を離れてしまえば、一気に俺の生存確率は下がってしまうのだ。こちとら確かに死にたがりだが、そんな積極性は求めていない。
「……こた、もういいよ。気は済んだ」
いい加減鍔迫り合いの音にも飽きて、こたに指示を出す。彼は忍刀を仕舞った次の瞬間には俺の足元にかしずいていた。………ちょっと待て、どうやって移動した。これがあれか、伝説と呼ばれる由縁なのか。
とりあえずご褒美に、頭を撫でておく。相変わらず俺好みの触り心地。癒される。
―――でも、彼が俺に従っているのは今のうち。あちらに帰れば、本来の主がいる。
ああ、いずれ去る者には気持ちを傾けないようにしていたのに。こんなにも長く一緒にいたら、離れ難くなるじゃないか。神はこれを、狙っていたんだろう。
俺は誰にも気付かれないように、そっと自嘲の笑みをこぼした。

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あきゅろす。
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