トリップ小説 完結 自己紹介(佐助視点) ここは先の世で、目の前にいる女が俺様達の世話役。そんなことを聞かされたところで信用なんかできるはずもなく、刃を向けた。風魔も同じように忍刀を向ける。 女は驚くでもなく、悲鳴を上げる訳でもなく、ただ叫んだ。 「やられたらやり返す。恩は倍に、それ以外は三倍返しだ!」 ガッとクナイと忍刀を素手で掴み笑顔を浮かべると、頭突きを俺様達2人にかました。たたらを踏むと流れる水のように喋り出す。 「………っ」 「なんなのかな?いきなり丸腰の女に刃物を突きつけるのが礼儀なのかな?戦国時代って怖いねぇ、命がいくつあっても足りないよ」 顔は笑顔のまま、目は笑っていなかった。その瞳には怒りの炎が見え、女が怒っていることがわかる。けれど俺様はそんなことより、女の発言に驚いていた。 初対面の人間に、刃を向けなくてもいい世で。この女は、生活していたのだ。 ぐらり、と忍としての「存在意義」が揺れる。 「俺の名前は舞霧春織と言う。この時代は全員姓を持ってるから混乱しないように」 おまけに身分の違いもないと来た。また、揺れる。 「それじゃ、君らの名前を聞こうか」 俺を揺らすこの女は苦手だ。そう思った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |