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トリップ小説 完結
神仏について(小太郎視点)
「さて、語ろうかナリー」
「うむ。貴様がどれだけついてこれるか見物だわ」
「ふっふっふ、オカルトマニアをなめちゃいかんぜよ」
1人は楽しそうに、1人はいつも通りの無表情で2人は向かい合う。この家の主である春織と謀神・毛利元就だった。周りは何が始まるのか興味津々で見守っていた。
「やっぱり三貴神は譲れないよね。天照大御神、月読命、須佐那男命。太陽と月と海。これははずせない」
「当たり前ぞ。日輪の神々しさに次ぐものはなかろうて」
「でもねナリー、よく聞いて?南蛮や異国の方では、また違った神様がいるんだよ。そしてだいたい太陽神は男」
「男神になるのか」
「月の方が女神の方が多いね。それはなぜかってゆーと、月は女性を表すから。だいたい太陽と双子だし、姉の方が多いかな?」
「聞かせてみよ」
「おk。例えば――」
……何を話すかと思えば神仏の話だった。春織が最初に聞いたのは「ヨモツヘグイ」を知っているか否かだった。無駄に知識があるらしく、毛利を相手取り話していることがしばしばだ。暇さえあればあの2人は延々と語り合っている事が多い。明智も不思議そうに2人を見つめていた。
「なるほど、そのような伝説があるのか」
「エジプトの方では太陽は死と再生の象徴だよ。太陽は沈むときに死に、新しく生まれ変わって朝空へ昇る。だから王朝の代々の王達は太陽神ラーの息子を名乗り、統治をしていたそうだよ」
「なるほど……では、月に関することは?」
「日本では月は男神だけど、外国では女神が多いね。ギリシャ神話のアポロンとアルテミスは双子で、アルテミスが姉にして月。弓矢の名手で、狩猟の神とも呼ばれているよ」
「2つ名を持つのか!」
「日本だって同じようなもんだよ。神様がいくつも名を持つのは日常茶飯事だよ、ナリー」
「むむ……」
「毘沙門天だって最初はインドの神様だったし。名前なんだったかな、なんかすごい長い名前。大黒天は大国主命だしさ」
「そんなことまで知っておるのか……末恐ろしいな」
「誉め言葉として受け取っておくよ」
からりと笑い、春織は言う。知識を鼻にかけるでもなく話す様子は、清々しいほどまっすぐだった。好きなことを好きなだけ語れることに、喜びを感じているようだった。
「ね、次はナリーが教えて?」
「よかろう。いいか、そもこの世の真理というものは―――」
難しい話が始まったと顔をしかめる者、すでに寝ている者、立ち去る者。それぞれの反応を見せて彼らは去って行く。俺は主のそばに在るのが当然。そのまま話を聞くことにした。

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