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トリップ小説 完結
変な女(元親視点)
「ちょ、皆待って、驚いただけ!驚いただけだから!こたー!刀しまいなさい!」
また素手で掴むよ!?という、忍にとって有効な脅しを使い、刃を収めさせ。
俺達にはなんの遠慮も見せずに拳を使い。
春織は、その場を治めてみせた。
……ただし、大谷に関しては必死に説得していた。病人に拳を振るうほど非道でもないらしい。
変な女だ。極めつけは、これ。
「お父様と呼ばせて下さい!!」
第六天魔王を、父と呼ぼうとする。最上級に変な女だ。それを許可した魔王も、変だと思ったが。春織に抱き付かれた時のまんざらでもなさそうな顔を見るに、落ちてしまったんだろうな、という予想はついた。魔王には子がいないから、父と呼んでくれる相手がいなかったのが原因だろう。さっそく南蛮菓子を出して与えて、それに対し無邪気に喜ぶ春織を見て顔が緩んでいた。魔王として大丈夫なのか、それ。
変な女だ。風魔の忍や大谷なんかを落としてしまって、本人はなぜ落ちてしまったんだかわかっていない。大谷や魔王に対しては、落ちていることすらわかっていないようだった。
「えーと、皆はお父様が苦手?なのかな。まぁ協力しろとは言わん、妥協しろや。ケンカしたら問答無用で殴るかんな」
「それでこそ我が娘」
「やだお父様ったら、褒めても何も出ませんよ?」
………変な女だ。本当に、変な女だ。
春織に対する俺の認識は、「変な女」で固定されかけていた。

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