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審神者日記 完結
Let's手入れ!
こんのすけから手入れの説明を受け、重傷者から傷を治していく。自分の体から何かが抜け出ていく感覚がして、すごく気持ち悪かった。なるほど、これが霊的な疲労かと実感してしまった。その疲労を誤魔化すためにこんのすけに話しかける。
「こんこんや、この本丸にはいったい何振りいるんだね」
「ざっと30振りくらいでしょうか。短刀とレア太刀が何振りかいません」
「いまさらだけど前任殴りたいわね」
こんな可愛いショタ傷だらけにするとか何やってんの?馬鹿なの死ぬの?死ねばいいのよそんな人間なんぞ。生きてたってどうせ役に立たないんだろうし。
「まよい様、何か恐ろしいことをお考えではありませんか?」
「エーソンナコトアリマセンテー」
溜めに溜めたオカルト知識を振り絞って呪詛かけようだとか、そんなこと微塵も思ってませんてー。どちらかと言えば黒魔術多めだから呪詛には困んねぇんだぜとか思ってませんてー。いや本当に(視線は明後日の方向)。
「まよい様、私の目を見て仰って下さい」
「ナニモカンガエテマセン」
カタコトなのはご愛嬌だ!とばかりに刀身に打ち粉を叩きつける。これで何振り目だ、13くらいか!?こちとら霊力とやらはあってもなけなしなんだよ、雀の涙なんだよ!早く終わらさないとこっちが倒れそうなんですけど!?無理やりテンション上げないとやってらんねぇぜヒャッハー!
ぼふぼふと打ち粉を刀身に叩きつける俺がそんなことを思っているとは露知らず、手入れを受けて安心する者、眠りにつく者、それに寄り添う者、様々に行動を起こす。
で、だ。背後からビシビシ突き刺さるものはなんなんですかねぇ。あれですか、巷で有名な殺気というやつですか。本当にやってらんねぇぜ。
「まよい様頑張って!!あと3振り!」
「お手伝い機能とかないんですかねぇ!?」
「あ、それなら手入れ妖精が「おいそれ早く言えよ」ひっ!?」
今しがた手入れの終わった刀をこんのすけに突きつける。いやだってさ、こっちの負担を減らすものがあるなら教えておくべきじゃない?常識的に考えてそうじゃない?だって俺善意でやってんのよ?なんの見返りも期待せずにやってんのよ?その俺に情報を開示しないって、なんか違くない?
「皆喜べー、今日は狐鍋だよ♪」
「まよい様まよい様!?私食べれませんから!!捌いたところで食べれませんから!!」
「ちっ」
「露骨に舌打ちされた!?」
酷いです、とこんのすけが蹲る。いや、酷いのはそっちやねんて。何善意の第3者に情報隠匿してんの。使えるもんは全部出せよ。ため息をつき、刀を持ち主に返す。
「すまんね。はい、手入れ終わり」
「……別に構わねぇよ」
脇に兜を抱えた彼は、その言葉通り気にした風もなく刀を受け取った。
「さーてこんこんや、その手入れ妖精とやらはどこに?」
「……ぐすっ、そちらにいますぅ……」
そちら、とこんのすけが前足で示した方向へ首を向ける。そこにいたのは、こちらをきょとんと見つめる小さな子達だった。
「やだ可愛い」
「あれが手入れ妖精でございます。霊力を渡せば刀の手入れを手伝ってくれますよ」
「やっぱそれ最初に言っとくべきだったよね?反省して?」
「ハンセイシマス」
視線は明後日の方向に固定し、こんのすけは答えた。やだーさっきの俺と同じじゃないですかー。狐鍋にするぞ☆
「手入れ妖精達や、こっちゃおいで」
手で招き寄せると、ちょこちょこと足を動かして近づいてきた。わぁ可愛い。お持ち帰り希望したい。
「手が足りないからお手伝いを頼んでもいいかね?」
「(こくこく)」
「ありがとう。それじゃあこの2振り、お願いね」
妖精達に刀を預け、俺は最後の1振りに取りかかった。

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あきゅろす。
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