* (お、外♪お、外♪) 帽子を押さえながら広い庭を走り回る。 そのうち方向感覚がなくなってしまい、ミケの気づかないうちに学園の方へ向かうこととなる。 「ここ…どこぉっ…」 見たことのない場所。 ミケは寮の方しか知らないのでしかたないのだが……まぁ…迷子だ。 そんなときに人に会えば聖との約束も忘れてしまうもの。 「……あんた、どうしたの?」 「ふぇっ…ミケお家分かんなーいっ!!」 「うわっ!?」 「ふぇぇーんっ…ひ、じりぃっ……」 えんえんと泣き出してしまい、その人は困った顔をする。 近くにより、背中を撫でてあげると少しは落ち着いたようだ。 「えーっと……ミケ?はここの子?」 「ひ、じりの……とこっ」 (うーん…聖?聞いたことあるけど…) 「…あ、うちは犬飼慎一。良かったらうちくる?」 「……わんちゃん?遊ぶ、の?」 うるうるっとした目で慎一を見上げ、笑顔を見せた。 どうやら迷子になったことはもう頭にないらしい。 犬飼慎一はここの2年生で、アパートから電車通いをしている。2駅分なため近い方で、ミケを持ち上げて来た道を戻ろうとした。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |