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その千佳広の言葉に2人の行動は止まってしまった。まるで珍しいものをみたかのように。
「え…そのままの意味だけど」
だってここはBL学園だろ?みんなホモが来るんだろ?まさかノンケが来るなんてことはないだろ?新吾の頭の中は混乱していた。
だが千佳広の頭の中も混乱していた。なにせ彼は…ホモ学園と知らずにきたノンケ君なんだから。
「ねぇ新吾…まさかってことは無いよね?」
「無いだろ……でもそう言えばさっき俺の攻撃にも反応示さなかったな…」
「うそ!そんな子がいるなんて…」
「ちょっと!オレを差し置いて2人で話さないで下さいよ」
2人の話について行けず1人蚊帳の外だった千佳広は無理やり会話に入ってきた。
少し…確かめてみよう。新吾の頭にふと考えが浮かんだ。直接聞くのはおかしい(この学園のなかだけね)なら仕掛けてみようじゃないか。
新吾の行動は速く、千佳広の手を掴み抵抗する間も与えずに───キスをした。
始めはくっつけるだけの、試すようなキス。それでも千佳広は何の反応も示さない。突然のことで頭が回ってないようだ。
なら……
「んんっ!?」
新吾は舌を入れた。その感覚に飛んでいった意識が戻ってきたようだ。
「っやめ…福山せんぱっ…」
千佳広はキス自体が初めてなのに男に、しかも舌まで入れられてしまって涙を浮かべ始めた。
感じてきているのか頬も朱をおびてきて息もあがってきている。その様子がとてもイヤらしく新吾は興奮してしまった。
もう…押さえきかねー…。
「ふぁっ…んっ…ハァッ」
ピチャピチャと音をたてながら新吾は逃げ惑う千佳広の舌を追う。どちらのとも言えない唾液が千佳広の顎を伝っていく。
「も…ッやめろよ!!」
ついに千佳広はキレてしまった。新吾を突き飛ばし口を思いっ切り拭う。何度も何度も。
「お前っ…ハァッ…頭おかしいんじゃねぇの!?おおぉおぉ男にキスされるなんてまじキモイ!!!」
千佳広は思っていることを全部一気にぶちまけた。
確かに千佳広はノンケだし、普通ならこんな事なんておきるなんて事はない。でもここはホモが集まるBL学園だ。こんな事は日常茶飯事だし、しかもキスの相手はキングだ。
キングになら…と拒む人もいない。が、今回は相手が悪かったようだ。
「福山先輩のバカ!!まじ死ね!!」
千佳広はそれだけ言うとひとりで校舎に入っていってしまった。
「あーあ、嫌われちゃったね」
「うるさい」
「まさかノンケだったとはなぁ…。まっ取りあえず僕は千佳を追いかけるから」
茜は千佳広を追っていってしまった。その場にはキモイ、死ねと言われたショックで立ち尽くしている新吾だけが残された。
「ねぇ、待ってチカ!…ッ…待てっつってんだろ!!」
逃げ回る千佳広を必死に追いかけていた茜だが、痺れを切らし猛スピードで追いかけ千佳広を捕まえた。
「うわっ!?え…今一瞬男らしい茜を見た…」
「ん?何のこと?それよりもさ、僕の話聞いてくれない?」
そう言うと茜は近くの教室に入り千佳広を座らせた。まだ動揺しているようで茜からも逃げようとしている。
「何なんですか!?もう初日から最悪だよ…」
「ねぇ…怒らないであげて?」
「怒るな?ハッ、ふざけないで下さいよ」
「本当に何も知らないんだね…」
「…どういうことですか?」
「あのね、」
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