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恋なんて
名前、気にしないで下さい


男子校初等部に入学して早10年。もう高校二年生になりました。思春期を男だけで暮らすという結果同性愛者が多く、かく言う俺もその1人だったりする。


俺、森山千佳広、恋してます。


─恋なんて─



あいては俺の友達でクラスメートの福山新吾。これといって目立つ容姿ではなく、かといって平凡というわけでもない。しかも根っからの野球バカで、恋のこの字も知らないほどそういうのに疎い。


ならなんで好きになったのかって?


……好きになってたんだ、気づいたら。野球をする新吾も、それを楽しそうに話す新吾も好きだ。周りはよく話に付き合えるなっていうけど、そのおかげで新吾は俺にしか話さないから幸せだ。


もし俺が告白したら…この関係はどうなってしまうんだろうか…?


* * *


「……な、お前授業中俺見てた?」

「…………え」


授業中、確かに見てた。いつも疲れたように熟睡する新吾を、斜め後ろの席から俺はみる。たまに見える寝顔は、俺の心を締め付けるんだ。

それよりも…、


「バレてた?」

「まぁ…刺さるようだったから」

「そのっ…気持ちよさそうに寝るなって…」

「おう!だってよ、野球やった後に寝ると野球の夢みんだよ」


そういって目を輝かせながらまた野球の話を始める。話してるあいては俺でも、新吾の目は野球しか見てない。たまに…野球に嫉妬する。これが人でないだけまだましだ。


「よし、腹ごしらえしてキャッチボールするぞ」

「はいはい」

「やる気だせやる気ー」


お昼休みは必ずキャッチボール。ほんとはあんま好きじゃないけど、新吾がやりたいっていうから付き合う。好きだという気持ちを込めてボールを投げるんだ。

なぁ…新吾。お前は俺をどう見てるんだ?


『あのっ…新吾先輩!!』

「「え?」」

『僕っ、大池茜っていいます』

「あぁ…マネージャーだ」

『はいっ!』


え…何、なんかやな予感。大池茜は男にしては小さく、可愛い部類に入る。たまに部活の様子見に行くときに見かけるけど…気の利く子だったはず。

でもマネージャーが何の用?


『僕っ…新吾先輩が好きです!今すぐにとは言いませんが…お返事、してくれますか?』


……………は?好き?誰が?誰を?やめろよ…新吾は俺のなのに、なんでそんな簡単に言えるんだよっ!!

そしたら俺が混乱してる間に新吾は大池の前まで歩いていって目をみた。本当かどうか、新吾は目をみて判断するから。…でも、今はその瞳に俺以外映して欲しくない。


「……気持ちは嬉しいけど…」

『っ…待って下さい!あの、僕のことちゃんと知ってから…お願いします』

「うーん…分かった」

『あ…ありがとうございますっ!』


え、何それ。なんで今断んないの?別に好きじゃないんだろ?断れよ。断ってはやく俺のとこに戻ってきてくれよ…。


「どうした?千佳広」

「……別に」

「?」



* * *


『せーんぱいっ。一緒にお昼食べませんか?』

「………大池」

『僕お弁当作ってきたんです。……ダメですか?』


シュンとしたようすで引き下がろうとする大池。強気なままだったら新吾は断ったかもしれない。でもそうやって寂しそうな顔すると…、

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あきゅろす。
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