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ニヤリ、と笑って俺を見下ろす。う…嘘だ!だって茜は俺よりも小さくて女みたいに泣き虫で、いつも女子の中にいて…!
そ、そりゃ当時はちょっと俺もやんちゃしてたさ。
男が女の中にいるなんて、イジメの標的に最高だったし…。
でも、まさかあの茜?
「復讐、でも、しにきたのかよ…っ」
「えーいや、始めはそのつもりだったんだよなぁ。夏休みに千佳広を見かけてから、つい最近まで」
「夏休み…?」
「俺、後つけてたの知らない?色々調べたし、復讐するつもりで転校届けも出したんだよね」
「っ…あ、あんときは悪かったって!俺もまだガキで、そういう良し悪し分かんなくて…っ」
なんかヤバい。
とにかくヤバそうな雰囲気に、謝っとけと思った。
もし、あのときの復讐にきたのなら森山は何をする?同じこと?俺の方が今はチビだから、ありえる。
それとも、周りにいうのか?俺が人をイジメてたって…うわそれヤダな。
とにかく、謝れ俺!
穏便に済ますんだっ。
「申し訳ないっ!な?この通り謝るから許してくれっ」
「や、もういいよ、別に」
「…へ?」
「謝っても許してやらない、と思ってたんだけどさ…なんか千佳広見てるうちに、復讐なんてどうでもよくなって」
「…じゃ、なんで、今…」
「むしろ、憎悪より愛情が湧いちゃったんだよね、俺」
「…ん?、んっ!?」
愛情って、何に?
なにそれ美味しいの?
え、誰に?
ちょ、待て待て待て。
深呼吸、は、トイレの中だからやめとこう。
「わ、ワンモアプリーズ」
「はは、なにそれ可愛い。ほんと小学生のときから成長してないよね、可愛く育っちゃってさぁ。…もう、俺好み」
「は…はぁあああ!?」
「弱点見つけようと見てるうちになんか好きになっちゃったみたいでさ、復讐はやめにした。代わりに、俺と付き合ってよ」
「待て待て待て!俺男!森山も男!」
同じモンついてる男だからっ!
一体どうしたってんだ、俺を恨みすぎて一周しちゃったのか!?
ならもう一周しろ!
付き合うより復讐された方がいいっ!
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