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…好きだったのだ、あの男が。
初めて紹介されたとき、一目惚れをした。どこまでも趣味の同じ双子。好きになるのは必然で、同時に、弟が羨ましくてしょうがなくて。

あの性格が羨ましい。
弟の周りにはたくさん人が集まるんだから、その男ぐらいくれてもいいじゃないか。


その思いが募り、あの日、兄は弟に誘いをかけた。弟は喜んだ。久しぶりに兄と出かけられることに。
けれどそれさえ兄の目にはバカにしたように映り、…そして行動を起こしたのだ。

弟の背中を、軽く押した。
それだけで車にひかれて、あの世逝き。あのときは笑いを堪えるので必死だった。



それから男にバレないよう、色々と頑張った。趣味も声も顔も同じだからそこは大丈夫。弟のフリをして彼を愛せば、彼も愛してくれた。

葬式だけは、なんとか理由をこじつけて来させないようにした。周りからバレてしまっては意味がない。
両親も騙し、慰めと偽って外に出るようにした。喜んでくれたな、と兄は思い出す。


でも、もう終わりだ。
バレてしまった。
これからどうなるだろうか。
全て…大切だったはずの弟を失い、愛しいあの人も。

生きる意味がない。
…もしかしたら、あの男が自分のしたことに気づいて殺しにきてくれるかもしれない。
そうしたらあの男の中に強く残るのは、弟ではなく自分になるだろうか?

いっそ、両親にも本当のことをいってしまおうか。



ああ、ほんと。


「…なぁんで…双子に生まれて、きたんだろ…」



勝手に殺して、ごめんね?
1人じゃ寂しいでしょ。
ずっと2人で一つだったから、だから…早く、そっちへ連れてって、僕の半身。




――…包丁を持った男が戻ってくるまで、あと、1時間。



END…。
双子兄→彼氏×双子弟
兄弟奪い合い


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あきゅろす。
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