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「お前は兄貴のこと、好きだったもんな…」
「っ…ごっ、ごめんね、せっかく一緒にいる、のに…」
「気にすんな。今は、泣くといい」
「ふぇ、うぇぇんっ」
彼の優しさに包まれて、残された弟は泣いた。葬儀が終わり、一週間ほどはその死から立ち直ることは出来なかったようだ…。
◆
「おーいっ、お待たせーっ」
「…いや、今きたとこだ。それより…今日は元気だな」
「うん!あのね、僕考えたんだっ」
「ん?」
「いつまでも悲しんでちゃダメなんだ、って。お兄ちゃんの分まで、僕が精一杯生きなきゃって」
「そうか。強いな、お前は」
えへへ、と笑う。
いつもの可愛らしい笑顔。
彼はホッと息を吐き、手を繋いでデートを始めた。
写真でしか見たことない双子の兄。いつも話に聞いていた、双子の兄。
ツラいことだけど、いつまでも苦しめないでくれと思っていたから、吹っ切れていたことに安心をした。
「映画、どれ観るか決めたか?」
「うん!えっとねーあの『ワンワン物語』ってやつ観てみたいなっ」
「ああ、犬、好きだもんな」
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