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「心臓病…この人に、その心臓は合わなかったのかな…?」
「さぁ…一部では拒否したっつー噂もある。案外、茜のソレだったりしてな」
「ええっ!?た、確かに僕が移植した時期と近いけど…」
「もしそうだったら、この2人に感謝しねぇとな。この2人の死があって、茜が今ここに生きてられんだから」
「そう、だね…僕、これから毎日ここにこよっかな」
「はあ?やめとけ、せめて月1にしろ。大体、やっと静かに2人きりでいられるようになったんだろうしな」
「え、付き合ってたの?」
「そういう噂、あくまでな。でもそうだったら邪魔するなんざヤボだろ」
「うん。…えと、先輩のか分からないけどありがとうございましたっ」
…トクン、と、自分の心臓が音をたてた気がして。その子は胸に手をやり、今生きていることへ感謝しきれないほどの感謝をした。
そして思う。
生きて愛し合えなかったこの2人の分まで、僕が生きて彼をたくさん愛そう、と。
「おい茜、もういいだろ、置いてくぞ」
「あーっ、待ってよー!恋人置いてくなんて酷すぎっ」
「うっせ、俺の恋人ならもっとキビキビと行動してみろ」
「むぅ…ベーッ、だ!」
「…くっ、ほら、置いてくぞ」
「っ…バカ!好きっ」
「俺も好きだよ、茜」
繋がられた2人の手は、きっとほどけることはない。
……上から見ていた2人の手のように…。
終・わ・り。
某恋愛映画からネタいただきました
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