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どういうやつがどこらへんにいるか、入院を何回もした俺には分かっている。
すぐ、見つけられた。管に繋がれた千佳広を…。
「ち、チカ!チカ――!なんでだよぉ…っ…ぐ、かはっ」
『落ち着いて!…担架持って来いっ』
「ち、か…置いてくな、俺…を、なんで、チカが先に…っ」
あんなに、俺と違って元気で明るいやつだったじゃねぇか。
なのに、どうして!
俺はすぐオペ室に運ばれたが、全てを拒否した。親を呼んでもらって、…謝った。
泣いてる親に向かって先に逝く、って。
『今移植すれば間に合うかもしれないんだぞ!?』
『そうよっ、お願いだから新吾ぉ…っ』
「ご、め…俺…チカ、いない世界、ムリだわ…はぁっ、一緒に、死な、せて、くれ…」
『新吾!新吾そんなこといわないでっ』
「こ…な、俺を、育ててくれて…ありがと、う。チカ…今、いくな…」
目を閉じたら、愛しのチカが俺に向かって微笑んだ。
悲しそうなやつじゃなく、本当に幸せそうな笑顔。
そして俺に手を伸ばしてきた。俺はそれを、力強く掴んだんだ。
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