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「か、勘違いだったようだ。すまないな」
「あ…」
「楽しい、学園生活を」
(なんだろ…知らない人なのに、ドキドキする…)
は、はは…っ。
100年目にして、ようやく失恋だ。長かった…でも、お前を想っているこの100年は、俺にとってはあっという間だったんだ。
なのに、前世の記憶なんて持ってるはずもなく、しかも男。
神は、残酷だ。
なぜ俺は死ねない。
『なんだよお前、好きなやついるんじゃ…』
「…何でもねぇ、気にすんな」
『気にすんなって、俺、お前があんな嬉しそうな顔したの、初めて見たぜ…?』
「俺も久しぶりだった。でも…いや、本当にもういいんだ」
愛していた、ずっと、ずっと。
これからもお前を忘れることはないだろう。
だから、せめて見守ることぐらいは許してくれ。幸せになることを祈るぐらいは、いいだろう?
「……やっと、見つけたのに、な…」
「あ、あの!」
「っ、…なん、…」
「…あの、ごめんなさい。僕、前に会ったこととか…?」
「…ずっと、ずっと前だ。忘れていて当たり前なほど、ずっと前」
「そう、ですか…ほんとに申し訳ないんですけど…覚えてなくて…でも、さっき、暖かい感じがして…」
俺を追いかけてきて、しどろもどろに話すお前。
…何かを、感じ取ってくれたのだろうか。まだ、チャンスはあるのだろうか…?
「っ…先輩の名前を教えて下さい!それでもしよかったら…教えて下さい、僕が忘れているその全てを」
「……ああ、ありがとな。その気持ちだけで十分だ」
「先、輩…?あれ…やだな、どうして僕、涙なんか…っ」
「俺は…お前が好きだよ。ずっと、ずっと前から…会いに来てくれてありがとう」
「ふぇっ、う、…なん、でぇ…っ、ごめんなさ、…ひっく、分かんないのに、嬉し…っ」
バカだな、覚えてないのに、俺に期待を持たせるようなことをして。
困ったように泣くお前を俺は抱き寄せて、100年振りの温もりを感じた。
周りに人がいようが、早急すぎる告白だろうが関係ねぇ。
嬉しいんだ、会えたことが。
また、見送る結果になろうとも、やっぱり俺はお前が好きだから。
「泣くな。どうせなら…思い出してから泣いてくれ」
「んく、…っはい、すいませ、…うぅっ」
『な、なんか分かんねぇけど…オメデトウ?』
「ククッ、ああ、そりゃもう少し先だな」
とりあえず今は、先輩後輩としてお前のそばにいても、いいよな?
(愛してる、ずっと、待ってるからな)
(絶対あなたを見つけるから、待っててね)
(ずっと、)
(ずっと…)
END
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