[携帯モード] [URL送信]
廻る恋
※不死→前世が恋人




頼む、死なないでくれ。

俺を置いていくな――。



『ごめん、ね…先、いくわ……でも忘れ、ないで。

 私は、あなたを愛してるの…きっと、生まれ変わっても、あなたを見つけて愛すわ…』



それでも、次もお前は俺を置いていくんだろう?

嫌だ、もう、失いたくないんだ。



『そしたら、その次も…その次も。絶対あなたを見つけるから…待ってて。

 少しだけ、お別れね…』



っ…愛してる…ずっと、俺はお前を待っているからな…。




『…ぃ、おい!なぁーにボーッとしてんだよ』


「あ、…ああわりぃ。なんだっけ」


『だから!新入生にいい奴いたかっつってんの』


「いねぇよ。第一俺はノーマルだ」



いや、ノーマルだゲイだなんざどうでもいい。俺は、この世に生をうけてからアイツしか想ってねぇ。

そう、もう100年も、だ。


見た目高校生。
俺は、それ以上の成長はしない。不死なんてお前は信じるか?
だが俺は、死なねぇんだ。
たとえ体を真っ二つにされても、な。


だから、愛していたアイツを見送るハメになった。
一緒に逝きてぇのに、俺は見送るだけだ。

それから100年、ずっと、アイツだけを思い続けてきた。
時に探して、時にアイツから来るのを待って。



『ほんとお前ってなんつーか…恋とかしてっか?』


「……ああ、してる」


『はっ!?だ、誰だよ!俺知らねぇんだけどっ』


「いってねぇし、どうでもいいだろ」



会わせろ、といわれても困る。
スッパリ言い切って話を終わらせた。

ああ、お前はまだ会いに来てくれないのか。来るといったじゃないか…。



『……おっ、あの子可愛くね?』


「だから俺は…、…っ!?」


『こりゃ1年のアイドルになりそうだな。早速言い寄られて…って、おい!?』



猫のように少しつり上がった大きな瞳。
遠くから見ると小さく見える鼻。でも実際はほどよく高いはずだ。
普段から口角のあがった口。ああ、桜色なのも変わってない。
烏の濡れ羽のような黒髪。
お前は日焼けしても赤くなるだけだといって、綺麗な色白だったな。


ああ、ああ…、



「やっと会えた…!」


「っ、…え?」


「待っていた。ずっと、ずっと…」


「あの…えっと、どちら様、ですか…?」


「……え、」



なんだその困った顔は。
相変わらず可愛い…じゃない。


「覚えて、ないのか…」


「っ…?」



そう、だよな。
生まれ変わって、その前の記憶が残っているなんてありえねぇ。
俺はこの100年、何バカな期待を寄せて待っていたんだか…。

マズい、目頭が熱くなってきた。早くここを去らねば俺は不審者だ。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!