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『おいそれ…キスマ、じゃね…?』

『どんな女だよっ!年上かぁ?』


「っ…ぁ、あ…こ、れは…」


『『…?』』


「ふぇ…っ、ぼく、僕…汚いの…っ」



 うるん、と濡れる瞳。体を隠すように服と腕を前で交差させ、プルプルと体を震わせて茜は泣き出してしまった。クラスメートは慌ててかけより、慰めの声をかける。



「ひっく、知らな、男に…うぇ、お、襲われてっ」


『っ──!?』

『も、もういいから!悪かったムリヤリ着替えさせてっ』


「ふぇ、気持ち悪く、ない…?ぼく、僕…っ」


『キモくなんかねーよ!茜は可愛くて綺麗だぜっ』



 なぁ?──そうだそうだ!

 周りからあがる声に、茜は嬉しそうな笑顔を見せた。だが彼らは知らない。そのアトは、決してムリヤリついたものなんかじゃないことを。そして余分な知識を植え付けられたのだ。男が、男をそういった対象で見て、ヤレることを。

 ゴクリ、とどこからともなく鳴った音は、みんなの声にかき消されてしまった…。


 ……そんな、ある日。放課後茜は1人で教室に残っていた。勉強のため、と表向きはいっているが、勉強なんてしていない。ニコニコと外を眺めているだけだ。

 そこに現れたのは、普段からニヤニヤと茜を見ていた男に、戸惑いを見せる男。



『あっかねチャーン、1人で何してんの?』


「え…っ、あの、お外見てて…」


『なぁ…アンタ、男としたことあるんだって?俺ともしてみねぇ?』

『はあ!?お前何いって!?』

『まーまー、俺だけいい思いすんのわりーだろ?お前もしようぜ。茜チャンのこと可愛いっつってたろ』



 危ない、会話。だが茜は怯えるフリをして、ニヤニヤとその会話を聞いていた。近づく男にピクリと体を反応させ、イヤイヤと目に涙を浮かべて首を振る。

 けれど抵抗なんてしない。待っていたのだ、このときを。



「やっ、やだぁ!助けてよぅっ」


『や、やめろよ!』

『あ゙ー?』


「ふぇぇん、助けて…っ…僕、も、あんなことしたくないのぉっ。怖い、よぅ」


『っ…お、大池!?///』



 きゅうっ、ともう1人の男に抱きつき、涙で濡れた顔を押し付ける。

 その行為はとても可愛らしく、そして官能的だった。なぜだろうか、嫌がっているのに、誘われている気がするのは。



『お、そのまま押さえとけよー?クク、気持ちよくしてやるからな』


「きゃあ!ひっ…やぁぁンッ」



 高い、高い声。
 甘い、甘い声。

 男は頭が麻痺していくのが分かった。腰に抱きつく茜を抱き締め、荒々しく唇を奪う。それから先は…察していただきたい。

 まだ人気のある校舎に響く甘い声。その日から、彼らは変わった。







『茜チャーン、今日は4人だけどいいかー?』


「う、うん…僕、頑張るね…っ」


『くぅー可愛いな健気で!茜チャンは俺らのオアシスだよ』



 全校が、茜に虜になった。あれから1ヶ月も経てばほとんどの人が茜と関係を持ち、茜も調教された……ふりをした。

 男の欲は茜へ。茜だけがその学校での受け皿だった。


 ………のに。



『おい…今日茜チャンは?』

『知らねー。昨日の奴ヤりすぎたんじゃね?』

『ギャハハ!茜チャンかっわいそーう』



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あきゅろす。
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