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「………はぁ?」
「ふふん。おれが特別にお前をエサにしてやろう!」
「何ほざいてやがる…ガキはお家に帰んな」
「が、ガキ扱いするなーっ!おれはもう立派にキバもはえてるんだぞっ」
「………キバ?」
どうしてそんな発想になるんだと、ついソイツを振り返ってしまった。
そしたらどうだ、そのガキはイッと白い歯を俺に見せてるじゃねぇか。
普通の歯だろ、とは思ったが妙な好奇心に駆られ、街灯の下に行くよういってみた。
素直に行くあたり、ガキだ。
「ほら見ろ!おれ、もう自分で血も吸えるんだぞっ」
「……んだ、これ…取れねぇな。最近の変装グッズはすげぇな」
「いひゃい!ほ、本物だってばーっ」
「んなわけあるか。人間、いくら犬歯が出ててもこんなんにはなんねぇんだよ」
「おれは人間なんて下等な生き物じゃないもん!ドラキュラだっ」
しかも王子なんだぞ!
と、ちいせぇ胸を張って威張るガキに一瞬呆けた俺はバカだ。
はは、ガキの戯言に付き合うなんて、マジバカだ。
第一吸血鬼なんて、本の中の生きもんだろ。
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