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「俺は、そうは思わねぇ」
「……え?」
「たった一発。こんなたくさんじゃなくてもたった一発でたくさんの奴を笑顔に出来る、明るくする。……俺は花火って、すげぇ綺麗ですげぇ力を持ってると思うぜ?」
「っ…はは、凄い考え!」
「……だから俺は、お前の笑顔も花火のようだと思ってる」
「は…?」
コイツが笑うだけで、周りにいた奴らも至極楽しそうに嬉しそうに笑うんだ。
今は病院の中にいるが、他の患者を笑顔にさせてるとこも何回も見てきたし、クラスでもそうだった。
コイツが笑うとみんなが笑う。
まるで花火のようじゃねぇか。
「だから、んな風にいうなよ。花火はすげーんだ」
「っ…うん、ありがと…」
「お、おぅ…///」
ほら見ろ、お前が笑うせいで俺まで爆発しちまいそうじゃねぇか。
ガラじゃねぇからちょーっと笑うだけで留めておくけどよ。
──ドォ…ンッ
「ふふ、やっぱ綺麗だね」
「ああ、花火も…お前の笑顔も好きだぜ」
「……ありがとね」
それがどういう意味のお礼だったのかは、聞く勇気はなかった。
けれど花火を見て笑顔を見せるお前に、来年も見ようなと、この花火が終わったら誘おうと心に決めたんだ…。
──決めた、約束も、したのに…!!
「……んで、何でだよ…っ!」
「っ…ご、め…ね。やくそ、く…守れな、……て…」
「ふざけんな!約束守んねー奴は嫌いなんだよっ。だから、だから…っ、生きてくれよぉ…っ!!」
「ふ、ふ…泣い、ちゃダ…メ。ぼく、わら…てる、よ…?」
ああ、確かにお前は笑ってる。
そして俺はいったな、花火のように、笑うだけで周りを笑顔にさせるって。
でも、だからってこの状況でいうかよ…!
「頼むから、生きてくれよぉ…っ」
「……ぁ、り…がと。さき、いく…ね……」
「っ、ぁあ…ぅあああ゙あっ!!」
……それは、花火を見てから一週間たった日のことだった。
俺と病院の奴ら、そしてコイツの両親に看取らながら、笑みを絶やさずに静かに先立って逝ったのだ…。
俺はいったな、花火は綺麗で人を笑顔にさせるすげぇものだって。
そしてお前のようだと。
お前はいったな、花火は儚くて切ないものだと。ああ…それは今なら、分かる気がする。
っ…だって、お前の笑顔見ても、涙が止まんねーんだよ!
ポッカリ胸に穴が空いたみてぇに切なくて、悲しくて。
でもお前の顔は儚くて綺麗で。
なぁ…結局、花火って人にどんなことを伝えてぇんだろうな。
無惨に散っていくだけなのか、そうじゃねぇのか…。
俺は、お前が無惨に散っただけなんて思いたくもねぇ。
だけど今は、もう少し、もう少しだけ泣かせてくれ。
次、花火があがるころには、俺も笑顔を取り戻してみせるから…。
(大好きだ。花火も、…お前も。そしてこれは、一生変わんねぇんだろうな)
END。
あとがき。
花火=人を笑顔にする凄いもの。
=最後には虚無しか残らない儚いもの。
そんな2つのイメージから作り上げてみました!名前ナシの幼なじみ死ネタものでした。
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