*
「あの…」
「ああ、俺は一樹。前に一度会ったことあると思うんだけど…」
「僕は春樹です。えーっと…前、ノート落とした人…ですよね?」
お、覚えててくれたー!!
ヤバい、マジ嬉しい。
春樹か…可愛い名前だ。
しかもなんか名前似てる!運命だよなこれ。
「あんときは助かった」
「ううん。たまたま通りかかっただけだし…」
くっ…謙虚だ。
なんていい奴なんだ。
さすが春樹だ!
あーもー…、
「好きだー…」
「……え?」
「……………え゙?」
あれ?俺もしかして今口に出てた感じ?…だよな。
春樹が凄く困惑した顔してる。
でもそんな顔も可愛いな。
慌ててる姿とか最高!
「いきなりごめん。でも俺、春樹のこと好きだ」
「ぇ…え?だって僕は…」
「男だってのは分かってる。でも好きになっちゃったもんはしょうがないし…俺本気だし」
「だって、だって…じゃあいつも、僕を見てた、の?」
「ああ」
気づかれてた。
でもそれはそれで嬉しい。俺の存在をちゃんと分かっててくれたなんて…!
でも春樹はまだ混乱してる。
…いや、どっちかっていうと断る言葉を探してる、かな?
「ぁ…えっと、ごめんなさい。僕…やっぱり、その…」
ああ、やっぱり。
でも申し訳なさそうにいってくる顔はヤバい!おねだりされてるみてぇ…。
鼻血でそ。
「いいよ別に。すぐにはムリだろうと思ってたし、これから頑張るから」
「えぇっ…!?そんな、だって一樹君なら…その…他に女の人いっぱいいるんじゃ…」
「いねぇよ、俺は春樹しか見てない。…つーか呼び捨てで呼んでほしいな、俺は」
「え…かず、き?」
ぐっはー!!
も、ヤバいよ俺…。
名前呼ばれるだけでここまでクるとは思わなかった。このまま一緒にいるのは危険だ、俺の理性が保たん。
「じゃあ、明日から覚悟してくれよ」
「え、嘘……ええっ」
後ろで可愛い声が聞こえたけど、俺はそのままトイレに走った。
◆
それからは俺、頑張ったぜ?
まずはお昼、あれからいつも毎日一緒に食べてる。
俺のことを知ってほしいから、春樹のこと知りたいからたくさん話して。
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