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椅子におろされた輝は、離れていく温もりに少しだけ寂しさを覚えた。



「オレ、えと、飲み物と食べ物、買ってくる。1人、平気?」


「…す、少し…さ、さっきのしてくれた、ら、…平、気」


「…さっき、の」


「…ぎゅうって、その」


「っ…する、たくさん、する!」



ちら、と様子を窺うようなその視線に元気は目を見開き、そして満面の笑みを浮かべ、輝を強く強く抱き締めた。

輝には、もう元気に対する恐怖心はほとんどない。だからこそ、人との接し方に慣れていない輝は、こんなにも甘えてきているのだろう。


それが、嬉しい。
ついキスしたくなるその衝動はなんとか抑えながらも、背中に手を回してくれる輝に、元気は喜びを感じるのだった。



「いつでも、何回でも、いっぱいする。だから…センパイ、ほしい、いって。オレ、すぐくる」


「ふふ、"こい" って?それじゃい、犬だよ」


「鳴海センパイだけの、犬」


(へ、変なの…)



こんな、対人恐怖症なんてものになったが故に人のいるところにはいけなくなった輝に、なぜか懐いてついてくる元気。

どうしてそこまでしてくれるのかまだよく分からないけれど、それが嬉しいと思え、輝の中に元気の存在は着実に大きくなってきていて。

今は、慣れている人が少ないからこんなにも気になるんだとそう思っているけれど。
そんな考えが別の思いに変わるのは、もしかしたら近い未来の話しかもしれない。



(わぁぁ、た、たこ焼き…っ)


(センパイ、好き?)


(う、うん。ありがとう森口くん)


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あきゅろす。
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