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春休みから先に部活に参加していた元気は、部活の前や後、時間があればここにきて毎日自主トレをしていたのだ。期待の星と呼ばれ、それに応えたくて早く体を作り力をつけたくて。
努力を人に見せず、こっそりとここで。

それを知られていたことも驚きだが、頑張っていたのを知ってるよ、と。誉めてもらえるのがこんなに嬉しいことだと思わなかった。
頑張った分力が伸び、人に誉められ、またやる気が出て。そしてまた頑張って…それが、昔の、芹に会う前の自分が望んでいた姿だった、のに。



「バレー、下手くそ。みんな、オレ、迷惑。もう…」


「そ、そんなことい、いわないで。…また、が、頑張ればいい、と思うよ…」


「でも…」


「な、何もしなきゃ、何も、ない」



自分がそうだ。
いつも殻に閉じこもって、居心地のいい空間にだけいて。けれど背中を押してくれる人が現れ、そして行動し、元気とこうして話をすることが出来たのだ。

春休み、ずっと見てた人と今、会話をしている。輝にとってこれはその殻を破り捨てるほど、大きな一歩なのだから。


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