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本当に、殴られた。
意外といい平手が飛んできたことに面を喰らいながらも、直志は心の奥底からじわじわと湧き上がる何かに、いいようのない高揚感を感じていた。
もっと、もっと話がしたい。
許してくれたのだろうか?そうだとしたら凄く嬉しい。凄く、凄く、すご、
――パンパン!
「はい、この話はこれでおしまいです。坂本くんはこれでいいんですね?」
「い、いちお、う…」
「では私たちからいうことは何もありません。さぁ手が止まっていた分、少し急ぎめでこなしていきましょう」
「チッ、時間無駄にしたな」
「んなこというなって。丸く収まって何よりじゃん」
蛍の指示で皆が一斉に己の仕事に戻りだす。しっかりと統率のとれた様子に直志は目を丸くし、居づらい空気になってしまったことに気づいてそそくさと部屋を出て行った。
きっと、夕にいわれたように出来そうな仕事を片しにいったのだろう。
「あ、あの…鳴海先輩、さっきはありがとうございまし、た」
「う、ううんこっちこ、そ…、…友達、の、ためだから」
「せ、先輩…!」
テレテレ、テレテレ。
照れあう2人を、蛍たちは微笑ましそうに見つめるのであった…。
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