3 「…ごめ、ん」 「しょうがねぇな!じゃあまたな!今度一緒にメシ食おうぜっ」 バタバタバタ、走っていってしまう芹に、元気は唖然とその背を見つめた。自分よりもこの名前が似合いそうなほど、元気のいい明るくて優しい少年。 苦手な言葉を理解してくれ、謝れば笑顔で許してくれる。 ゆっくりと瞬きを繰り返した元気は、次の瞬間、手に持っていたペットボトルを落としてしまった。 ――ビシャッ 『うわっ!?…森口?どーしたよ』 「……芹」 『は?セリ?食べ損ねたのか?それよりそれ…』 「オレ、分かる。…初めて」 『な、何のことだ…?』 ほら、やはり、理解に苦しんでいる。あんなにもすんなりと元気の言葉を理解してくれたのは、芹が初めてだ。しかも、友達といってくれた。ご飯一緒に食べようともいってくれた。 …なぜか分からないが、とても気持ちが高潮した。 「芹、また…会う」 会って、話がしたい。 また笑顔を向けてほしい。 期待の星と呼ばれている元気が、地よりも下の闇に堕ちてしまった。そんな瞬間となってしまった…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |