4
「日本かぁー…平和な国、なんだよねぇ」
「春蘭は日本が好きだったな」
「うん!…日本人に生まれてればなぁ…」
落ち込む春蘭…双子の妹の頭を撫でる。
俺たちは、幼いころからこの組織にいる。小さいころのことだから覚えてないけど、確かそのはずだ。
だから、外の常識なんて知らない。殺すことが当たり前になった。
でも…それでも入ってくる外部の情報から、俺たちは間違った存在だということを知った。
殺しはしたくない。
でもそれは、許されない。
俺たちが殺されてしまう。
俺は…もういい。
でも、春蘭だけはダメだ。
俺の、唯一の宝物。
「ねぇ雷鳴、今回はこの住所だけ?」
「みたいだな。写真がなきゃ本人か確かめられないな…」
「あのタヌキオヤジ、それで違う人殺させるの目的だったりして!」
「シッ!…誰か聞いてたらどうするんだ」
今は部屋の中だけど、何があってもおかしくないとこだから。
俺らの名前は、ここに連れてこられたとき、唯一持っていたもの。
だから番号をつけられてそれで呼ばれたときも、二つ名がつけられたときも、互いにこの名前で呼び合うようにしている。
悲しくはない。
でも、ツラいから…早く解放されたい…。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!