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「秘密、です」


「彼が記憶喪失になった理由も?」


「秘密」


「何に対して怯え、変装しているのかも?」


「秘密」


「…ってことは、知ってんだな、お前は」


「…秘密、ですよ」



知ってて本人にはいわないのか、ってニュアンスも含まれてそうだったけど、ぜーんぶ秘密なの。

雷鳴にも、この人たちにも。
だって、知らなくていいことだもの。もう雷鳴には、苦しんでほしくないの。



「知らない方がいいこともある、ってことです」


「余計気になるんですがね」


「…雷鳴を…兄をよろしくお願いします。学校では、私はそばにいれないから…」


「はぁ…一応は、聞いといてやる」


「ふふ、じゃ、そろそろ戻らないと」



怪しまれちゃう。
一応は、っていってたけど、ちゃんと聞いてくれるような気がするの。それに…私と雷鳴のこと知ってる人がいた方がいいでしょ?

もしものことがあったときのために。


うん…ないと、いいなぁ。



「性格も似てんのかと思ったけど…」


「別ですね。しっかりしてるというか、少し腹黒そうな気配が」


「片割れ好きは同じだったがな」


「結構なもの隠してますよあれは。どうやって聞き出そうか…」


「女はこえーぞ、気ぃつけとけ」



* * *

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