16
「…あ、雷鳴待って待って。俺っち先に入るから」
「?、はい」
「わりぃね。…おーいっ」
珍しく先に中に入った誠司さんは、中に向かって声をかけた。
少しして、パタパタとスリッパの音が聞こえてきて、誠司さんがニヤリと笑みを浮かべて俺を振り返る。
どーぞ、と扉が開けられて、そこには…春蘭と、剛毅さんが、いて。
「「お帰り、雷鳴」」
「っ…た、ただいま!」
「会いたかったわー雷鳴っ」
「春蘭!俺もだよ」
「元気でやってたか?」
「うん、剛毅さんは?」
「はは、もちろん元気だ」
そう笑って、クシャッ、と髪を撫でてくる。…うん、いいな、家族って。
俺の "帰る場所" は、やっぱり "ここ" なんだ…。
へにゃ…と気の抜けた笑みを浮かべて、みんなで中に入った。
春蘭が入れてくれた紅茶と、途中買ってきたお菓子をテーブルにセットして、早速。
「で、どうよ学校生活は!」
「もーほんと女の子ばっかなの。みんないい人で、優しくしてくれるわ」
「勉強はついていけてるか?」
「んーふふ、まぁまぁかしら。この前のテストも、そんなに悪くなかったし…」
「あとで成績表見せろよーっ?」
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