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寝室の少し開いたドアの隙間から、シュルッと顔を出して俺のとこへ向かって走ってきた。

手を出せば飛びついてきて、俺の首筋へゴロゴロと顔をすり付けてくる。
これを可愛いといわずしてなんというか。



「マリンあったか…」


「てめ、嫌がらせかよ…っ」


「え?…あ、そっか…」



雫、猫アレルギーだった。
すっかり忘れてた。

こんなに可愛いのに触れないなんて、雫は不憫だなぁ。



「…どうしてもダメ?マリン噛まないし引っ掻かない」


「そういう問題じゃ…っ…あ゙ーくそっ、触ってみりゃいいんだろ!?んな目で見んなっ」


――パァッ


「うん!顎、よしよし好きだよ」


「っ…今薬ねぇのに…」



俺のほっぺ舐めてたマリンをしっかり抱きかかえて、ちょっと雫に近寄る。
ビクッと肩を揺らしたあと、雫は恐る恐る手を近づけてきた。

その手を、マリンが舐める。



「っ――はっくしゅ!くしゅっ、ムリだ…っ、そいつ部屋もど、せっ…ズズッ」


「残念…ごめんねマリン」


『にゃー…』


「んなしょぼくれんなよ…俺だって猫は嫌いじゃねぇ、け、ど…っくしゅ!」



それは、知ってる。
猫好きってわけじゃないだろうけど、優しい人ってことを。

アレルギーがなかったら、きっと雫がマリンを拾ってただろうし。


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