25
寝室の少し開いたドアの隙間から、シュルッと顔を出して俺のとこへ向かって走ってきた。
手を出せば飛びついてきて、俺の首筋へゴロゴロと顔をすり付けてくる。
これを可愛いといわずしてなんというか。
「マリンあったか…」
「てめ、嫌がらせかよ…っ」
「え?…あ、そっか…」
雫、猫アレルギーだった。
すっかり忘れてた。
こんなに可愛いのに触れないなんて、雫は不憫だなぁ。
「…どうしてもダメ?マリン噛まないし引っ掻かない」
「そういう問題じゃ…っ…あ゙ーくそっ、触ってみりゃいいんだろ!?んな目で見んなっ」
――パァッ
「うん!顎、よしよし好きだよ」
「っ…今薬ねぇのに…」
俺のほっぺ舐めてたマリンをしっかり抱きかかえて、ちょっと雫に近寄る。
ビクッと肩を揺らしたあと、雫は恐る恐る手を近づけてきた。
その手を、マリンが舐める。
「っ――はっくしゅ!くしゅっ、ムリだ…っ、そいつ部屋もど、せっ…ズズッ」
「残念…ごめんねマリン」
『にゃー…』
「んなしょぼくれんなよ…俺だって猫は嫌いじゃねぇ、け、ど…っくしゅ!」
それは、知ってる。
猫好きってわけじゃないだろうけど、優しい人ってことを。
アレルギーがなかったら、きっと雫がマリンを拾ってただろうし。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!