19 「…あの人、雫のこと、ほんとに好きなんだなぁ…」 誰にもとられたくない程に。 嫉妬しちゃうくらい。 でも、だからって俺に当たらないでほしいけど…。 雫も人気者だな。 金蝶なんか相手にしないで、もっと周りを見ればいいのに。 …いいはずなのに、なんで俺、モヤモヤしてるんだろ。 変なの。 「あーもー早く乾けー」 ――ガチャ、 それは、突然だった。 ここにきてもう30分くらいは経ったのかな。ただボーっとしてたら扉の開く音が聞こえて、俺はなんとなくそっちを振り返ったんだ。 そしたら。 「おや、雷鳴くんやない」 「旭人…」 「どないしたん?サボリなん、いけまへんねぇ」 「…ん」 「…?」 旭人がきた。 俺に気づいて、クスクスと笑う。生徒会だからサボリは見逃せられない、みたいなことなのか。 でもそれよりも。 屋上にきた旭人見て、俺思った。 「太陽かと思った」 「へ?…た、いよう…って、ふふ、またどないして」 「オレンジだから。空とあってて…」 「ああ、ほな、雷鳴くんの横でその…濡れた服、乾かしましょか」 「あ…これ、は」 [*前へ][次へ#] [戻る] |