１０
「ンク…美味しい、これ」
「だろ？つかここのは何食ってもウメェよ」
「うん、分かる。…っと、そうだカレー。…俺のスプーンでいい？」
「…ああ、もちろんだ」
「ライちゃんライちゃん、『はい、あーん』っていって食べさせてねぇ」
「？、…はい、あーん、雫」
「っ――！///」
ニヤニヤとそういう春馬さんに、少し不思議に思いながらも雫に向かっていってみた。
そういえばこれ、よく春蘭がするよな。可愛いんだ。
でも俺がしたって何にもなんないだろうし…と思って、雫が食べるのを待つ。
顔赤くしたまま動かないんだけど、これは一体どうしたらいいんだろうか。
「……穂波、今のうちに…」
「あ、お、おうっ。ライ､」
「ん？どうし…、…」
「…固まっちゃってどったの、ライちゃん」
「え、と…」
鬼、が。
違う、般若みたいな顔した人がこっちに向かってきてるんだけど。
キョトンとした俺に、三蔵は伸ばしていた手を止めて後ろを振り返り、凄く嬉しそうな顔をした。ニヤリって。
「…へぇ、サイコロステーキに御膳にラーメンセット。ずいぶんイイモン食ってんじゃねぇの？あﾞ？」
「な、ナオちゃん…」
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