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 全に、選んでもらおう。責任をなすりつけてしまうようだが、これが一番2人が納得してくれるだろうと考え、陽介は後ほど、全に聞きにいくことにした。

 そしてお昼休み。しっかり昼食をとったあと、陽介は全を訪ね1年の教室までやってきた。しかし、いたのは2人だけで。



「すまない、音無は…?」

「全ですか?今はその、屋上に…」

「呼び戻した方がいいッスか?」

「…いや、屋上だな?ありがとう」



 助かった、といって恐らく全のいる屋上を目指し始めた陽介に、永久と望は顔を見合わせた。屋上にいる。つまり、基也と会っているということに気づいて向かっているのだろうか、と。







「西さん追い返しちゃいましょうよっ!こいつ、このままじゃいつまでも居座りますよ!?」

「う?お昼休み終わったら戻るよ?」

「そういうこといってんじゃねぇよ!西さん卒業するまでくんのかっつってんだよチビ!」

「…だめ…?」

「別に、構わねぇ。…ここは俺のもんでもねぇだろ、錦」



 チラリ、と見上げて聞いてきた全の頭にポンと手を置き、毎度のことながら全に絡む錦を諭すように声をかける基也。確かに、いつも基也がここにいるせいで他の生徒は近寄ってこないが、別にここが基也のものになったわけではないのだ。

 いつ、誰が、どう使おうが自由。だから全に噛みつくのはやめろ、と。



「ゔー…じ、じゃあ西さんのいねーときにこいっ」

「…もう、基也と会っちゃダメなの…?」

「はぁ…全も、一々錦のいうことを気にするな。ダメなら始めからいってる」

「ふわぁ…っ、えへへ、うん!」

「ぐぅぅ゙…悔しい、けどさすが西さんッス!!」



 かっこいいッス!と目を輝かせる錦だって、基也は追い返すことはしない。本当に嫌なら殴ってでも力を使ってでも追い返すことは可能だ。それをしない。つまり受け入れてくれている優しさは、全にも伝わり自然と笑みがこぼれてきて。

 少しだけほんわかとしていると、屋上の扉が開く音がした。そして、その足音はなぜかこちらに向かってきていて。



「…音無」

「うぇ?…あ、会長さんっ!」

「ああ゙っ!?」

「休んでるとこすまない。少し時間いいか?」

「いいですよっ、どうぞ!」

「え、…あ、ああ。じゃあ失礼して…」


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