3 ――ふ、…ドスンッ 「い゙っ、てぇえ!」 一応勢いは弱まったが、余り意味なかったようだ。背中から落ちてしまった弘人は痛みに声をあげ、そして迫り来る脚立にさらに大声を出して横へ逃げた。ガシャン、と、大きな音をたて弘人のいたところに脚立が倒れる。 (なんっなんや…ちゅーか、) 「手ぇ痛いわなんじゃこりゃああ!!」 『な、なんだどうし…っどうした徳井!?』 『誰か篠竹先生をっ』 「アカン…意識したらメッチャ痛なってきた…」 音を聞きつけた先生たちが部屋から出てきて、両手血まみれの弘人に慌てて駆け寄ってくる。破片が刺さったりなんだりしてしまった両手は血に染まり、打ちつけた背中以上に痛みを訴えている。顔にも切り傷があり、弘人は散々な今の状況に思わず泣きそうになった。 結局そこの取り替えは業者にしてもらうことにし、弘人はニヤニヤととても楽しげな篠竹に意地悪な治療を受ける羽目になった。このことは生徒間ですぐ話が回り、そして。 「…んぉ?メールだ、速報だってよ」 「何それメールで速報?」 「そくほー?」 「んー…待ってなー全」 望のもとにも、メールが回ってきた。速報、とはいえいつものくだらない噂などが回ってきたのだろうと思い開いてみると、そこには弘人の怪我のことがかかれていて。こんなことをメールで回すなよなと思いつつ、聞きたそうにしている全に軽く内容を話してあげた。 「弘人先輩、大丈夫かなぁ…」 「大した怪我じゃねぇって書いてあるから、大丈夫っしょ」 「…ねぇ、手を怪我した、っていったよね、今」 「お、おう」 「あの手紙…」 確か、弘人の手について触れていたはずだ。思い出し、顔を青ざめ、いやいやまさかと否定する。メールには事故だと書いてある。誰かにやられた、なんて一言もない。だから違うはず。…そう思っていても、どうしても拭えないストーカーの存在。 幸い全は頭にハテナを浮かべよく分かっていないようだが、ストーカーの可能性に永久と望は深刻な顔を浮かべるのであった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |