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 そして待つこと数分、返事はすぐに帰ってきた。ブルブル震えた携帯にまだ若干驚きつつも、画面を開いて送られてきたメールに目を通す。



【全から誘ってくれるなんて嬉しいです。では本日のお昼休み、一緒にご飯でも食べながらどうでしょうか?】

【お願いします】

【分かりました。迎えを寄越しますので、教室で待っていて下さいね】



 メールの相手はHのトップ、翼だ。お昼休みに会うことが決まり、全は永久たちへようやく視線を向けて、そのことを伝えた。「おいおいおい…」と望があまりいいとはいえない反応を返してきた…が。



「…そう、分かった。気をつけてね」

「ちょ、永久!?いいのかよっ」

「止めても無駄だろうし、…聞きたいんでしょ?森羅万象のこと」

「ふぁ、なんで分かったのっ?」

「ふふ、…色んな人の意見、いっぱい聞いておいで、全。でもね、流されちゃダメだよ。自分の意見をしっかり持ってなきゃダメだからね。全は…僕は全に、そのままでいてほしいから」



 いつもは反対する永久が、Hへいくことに賛成を示した。そのことに望が驚くも、永久は真剣な顔つきで、そう続ける。何のことか恐らく全はよく理解しきれてないだろうが、それでも真剣な様子に、全も頷き返した。

 それに笑顔を浮かべて席へつこうとする永久を、望が慌てて追いかける。



「さっきの、どういう意味だ?」

「全ってさ、純粋で真っ白だよね」

「あ?あぁ、うん」

「でもそれって無知故なんだと僕は思うんだ。…僕たちは綺麗なものも汚いものもいくらか見てきたでしょ?それで、今の僕たちがある」



 純粋なままとはいえないが、どちらも受け入れて今の自分になったのだ、と永久は続ける。そして今、全はそれを突きつけられてるのだと。小さなころから色々見てきたことを、全は今総て見せられ、混乱しているのだろうと。

 …知らなければいけない、世の中の汚いところも。それを知り、また一つ大人になる。全の場合は大人になる階段を一気に飛ばすため、一気に様子が変わってしまうのだろう。でも、受け入れて、それでいて変わらず純粋な心を持っていてくれたら、全は全のままでいられるかもしれない。



「…なんて、難しい理屈とかよく分かんないいいわけつけてるだけかな」

「…?」

「願望だよ。総てを知った上で、僕たちのもとへいつも通りの全が戻ってくればいいな、っていう」


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