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 手で、先ほど見たであろう画像と同じように2つを表し、にぱ、と笑みを雪見へ向ける全。心からの好奇心や興味がヒシヒシと伝わってくる。だが、そんなことよりも今は、"この" 全の態度の方が気になってしまう。雪見だけじゃない。陽介やシエル、そしてうるさそうにしていた玲一までもが目を見開き、全を凝視していた。



「ぅ…?」

「それが、ある日突然性格が変わった…戻った?みたいで。今じゃこっちが全の "普通" になってるんです」

「…そうか。いや、それはいいことじゃないか?無関心なんて自分も周りもつまらないだけだろうしな」

「ほんとぉ、笑顔ヤバァイ!チョー可愛いんですけどぉ、なにこの子ぉっ」

「可愛い…えと、先輩?も、可愛いっ」



 横からギューッと雪見に抱き締められた全は、少し苦しそうにしながらもそういった。可愛い、とは、ちっちゃくてほわほわしてるもの、きゅんきゅんするもの。そんな抽象的な感じに教えられていた全は、雪見もそうだと思ったのだろう。全に誉められた雪見は、嬉しそうに笑みを返し、「朝ちゃんか雪ちゃんって呼んで」とお願いした。


「う…朝ちゃん?」

「っ、か、わい…!絶対うちより可愛いってぇ。色々ヤバいねぇこれぇ」

「はっ、テメェは性格がヤベェもんなぁ」

「うるさいしぃ。レイちゃんは黙っててぇ」



 むす、としながらも離れようとしない雪見に、永久たちは苦笑を浮かべる。そして、中をちょっと見渡して望は1つ疑問を持った。あのー…と遠慮がちに話に入っていき、聞いてみる。



「六条先輩はいないんスか?」

「…ああ、邦弘は部活だ」

「生徒会で唯一部活入ってるからねぇ。成績残さないといけないしぃ?」

「はー…そうでしたか」


「確か、剣道でしたよね?」

「永久ちゃんさっすがぁ!」



 六条は役員にして唯一部活に入っているメンバーでもある。本来なら生徒会の仕事が忙しくて部活どころではないのだが、彼の家が剣道の道場ということもあり、部活に入ることを親に強制されているのだ。それでも生徒会の仕事もきちんとこなしているのだから、六条もやはり凄いといえる人なのだろう。



「にしても、綿飴ねー」


「ふわふわ、甘い飴!」

「んー知ってるぅ。でもうち、甘いのはなぁ…」

――ピク、

「…?」



 辛いものの方が好きなんだよね、という雪見の言葉は、全の耳には入ってこなかった。"甘い" という言葉にほんの僅かに反応した彼を、不思議そうに見つめる。その視線に気づいたその人は少しだけ目を見開き、舌打ちをした。


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あきゅろす。
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