10
――ザワ、
…と、ざわめくのは一部の人間。毎年そうなのだ。2・3年はそのことか、と思っても仕方ない。そして翼は続ける。
「そんなことになってみなさい。Bの屑に笑われるだけです。それが私は許せません。実際そんなことになったら…連帯責任ですね。そのクラス全員に、私が罰を与えます」
『ば、罰…?』
「ふふ、別に問題を起こさなければいいんですよ。皆さんはとてもよくやってくれる人たちだと、私は信じてますから」
「うげ、翼黒っ」
ニーッコリ笑顔を浮かべて食堂中を見回す翼に、その横で待機していた流歌がベッと舌を出す。堀はそれを咎め、嬉々として翼の言葉に耳を傾けた。Bと少しの違いはあれど、トップへ寄せる思いは同じなのかもしれない。
「私からの忠告は以上です。雷火、流歌、何かありますか?」
「一言いわして下さい」
「ええ、どうぞ」
ピ、と手をあげた雷火と翼の位置が変わる。台座にあがった雷火は腕を組み、大きく声を張り上げた。可愛い顔に見合わず、漢らしく。
「いいかお前ら!たかが学園祭、されど学園祭だっ!勝負と名のつくものに負ける気はねぇ!勝って、あの野蛮なやつらにHが正しいことを証明してやろうぜっ!!」
『『もちろんです!!』』
わぁああ!声が、食堂中に響き渡る。そうして緊急の集会は終わりを見せ、翼たちは一足先に各自の部屋へ戻っていった。その場に残った生徒は興奮気味に話をするのだ。綺麗だったね、かっこよかったね、可愛かったな、…絶対勝手やる、と。
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