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 生徒会室から教室へ戻ってきただろう陽介は周りへ声をかけ、それでもある部分から離れて歩こうとする生徒にようやく基也の存在を知った。階段をおりて近寄り、そして基也だけじゃないことに目を丸くする。



「音無…じゃないか。どうした西とこんなところで…」

「……(ペコッ)」

「あ、ああ…何があったか知らないがもう始まる。早くいくといい」

「す、スイマセン!全、いくぞっ」

「失礼します」



 西と仲がいいのか、といいたそうな陽介だったがそこはグッと言葉を飲み込み、授業に遅れてしまうからと早く移動させようとする。そこにようやく永久たちが入ってきて、全を連れて基也と陽介の前から立ち去った。

 その去り際、全がチラッと基也の方を振り返り、基也がふっと笑みを漏らしたのは目の前にいた陽介しか知らない事実だ。



「いつの間に音無とそんな仲良くなったんだ…」

「…関係ねぇだろ」

『そうだ!仲良くなったわけじゃねぇよっ、仲良くしてやってんだよ!』

「お前は黙ってろ…」

「どうでもいいが…どこいくつもりだ。4組は次、教室で現国だと記憶していたが?」

「……」



 気まずそうに、というわけでもなくめんどくさそうに視線をそらした基也は最後に陽介へ一瞥をくれ、屋上へいくためにエレベーターの前に立った。既に舎弟がボタンを押して呼んであったらしく、すぐにきて基也はそれに乗り込む。

 それまでの間陽介はずっと説教をしていたが強く引き止めるつもりはないのか、乗り込んだあとはため息をついて教室へ向かいだした。







「あの西がえっろぉ優しそうな目ぇしとったらしいなー?全チャン」

――ピク、

「…寮長…」

「驚かさないで下さいよヒロ先輩!」

「いやースマンスマン!窓から見えて声かけたろ、思ってな」



 なはは、と大声で笑う弘人は、寮長室の受付窓から顔だけ出して彼らに話しかけていた。…放課後になって、少し周りから基也のことを色々いわれつつも寮へ帰ってきて弘人のそれ。永久と望はうんざりだという顔を見せ、全はなぜかその窓へ少し近づいていった。



「…何や何や?チューしてくれるん?」

「寮長…た、だいま」

「っ…お、おう。なんや嬉しいなぁ全チャンにそうゆうてもらえると」

「いい傾向ッスよね。それより…ヒロ先輩にも回ってるんですか?全と西先輩のこと」


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