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4月29日 GW1日目
 今日からGWが始まる。それに合わせ、昨日の夜から午前にかけて約1割の生徒が実家へと帰って行った。またね、お土産よろしく、などどの声も弾んでいて楽しそう。だがそんな中、彼らは浮かない顔をしていた。



「ヤベェ…結局全のことどうすっか決めてないし」

「僕明日には帰っちゃうし…全に大丈夫かなんて聞いても、ね…」

「っ…仕方ねぇ!ヒロ先輩に聞いてみようぜ!」

「…え?」

「GW中ずっと残るやつん中で安全そうな人紹介してもらうんだよ」



 2人がいない間の全の面倒は誰が見るのか。決めるといっていたのに決まらないままGWに入ってしまい、2人は焦っていた。特に永久。明日にはもう帰ってしまうため、今日決めないと全が心配できっと心ここにあらずになってしまうだろう。望へ押しつけていく形になるのも、永久としては許せないらしい。

 そこで、望は頼みの綱といわんばかりに寮長である弘人の名前をあげた。彼なら生徒の事情も知っているかもしれないため、とにかく聞いて行動を起こそうと。



「そうだね、寮長ならいい人知ってそうだし…」

「そうなりゃ早速いこうぜ!ヒロ先輩が帰っちゃってたら元も子もねぇけど」

「全、いこう?」

「……」

「まーた本読んでら。おーい全、いくぞーっ」



 本の世界へと旅立っていた全を呼び戻し、3人は部屋を出て1階へ向かった。そこには今まさに帰省しようとしている人が数人いて、その中央に目的の人がいた。3人は人がひくのを待ってからその人へ声をかける。



「ヒロ先輩!」

「…ん?おー望やん。永久チャンと全チャンまで、どないしたん?」

「オレらちょっと先輩に相談あってきたんですけど…」

「長なるか?やったら中入りぃ」

「すいません、ありがとうございます」

「…、…望はこんでええわ。永久チャンと全チャンに話聞こかー♪」



 申し訳なさそうに軽く頭を下げた永久を見つめ、なぜか笑顔のまま望を帰そうとする弘人。彼は永久と全の間に立ち、ちゃっかり腕を腰に回して中へ招き入れようとしていた。顔がニヤケているのが隠しきれていない。

 ハーレムハーレム、とでも思っているのだろう。



「ひでーヒロ先輩!オレも入れて下さいよー!」

「…寮長、ふざけるのもいい加減にして下さい」

「ちぇー。なんやこのまま3Pしよか思っとったのになぁ」

「「……」」

「はは、冗談やって。今茶ぁ入れるから待っときぃ」


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