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「…会計は、1年2組、叶永久だ」

「…永久?」

「やっぱりか!!」



 どうりで先ほどから姿が見えなかったわけだ。と望は驚愕の顔で、ステージ脇から出てきた永久を凝視した。全も目をパチクリさせて永久を見つめ、その視線に気づいたらしい永久は気恥ずかしそうに全へ笑みを向け、シエルの横へ並んだ。

 そのまま寮長も紹介されたが全たちはよく知らない人で、それよりも永久がいることに驚きが隠せず、新寮長の挨拶も右から左へと聞き流してしまった。そして、永久の挨拶の番になり、全と望だけでなくクラスメート全員が固唾を飲んで永久を見守った。



「この度、会長…肥後先輩よりお話を受け、生徒会役員・会計を任されることになりました、叶です。まだまだ未熟なところばかりですが、他の皆さんに迷惑をかけないよう精進していこうと思ってますので、どうぞよろしくお願いします」

『叶なら出来るぞ!』

「永久凄ーいっ」

「あー…喜ばしい気持ちは分かるが、1年2組は少し落ち着くように」

――ドッ



 陽介の注意に他の生徒が笑い、ステージにいる永久は恥ずかしそうに耳を赤くしてクラスメートを睨みつけた。けれど、本当に喜ばしいことだ。永久のことを知っている者なら、選ばれて当然と思うことだろう。全も、目をキラキラさせてずっと永久を見つめている。



「またミーが選ばれたのは当然ネ。ユーたちの代表はミー以外にありえない。これからもミーに迷惑をかけないよう気をつけるネ」

「っ…ふふ、副会長として恥のないよう、が、頑張ります…!こん、こんな俺ですが、た、頼って下さいっ」

「会長に昇格しちゃいましたぁ雪見朝でーす。ヨウちゃんがしっかり者すぎてウチじゃ不安、って人もいるかもだけど、モデルの仕事も会長の仕事も頑張るんで応援よろしくでっす。もちろんHとBとのこともちゃーんとやるんで、任せて下さーい」



 パチン、とウィンクを最後にして挨拶を締めくくる雪見に陽介は眉を潜めるが、YUKIのファンが多いGの生徒は、みんな特に不満はなさそうだ。むしろモデルとの両立は大変じゃないかと、雪見自身の心配をする声もあがってきている。

 どうやら、新生徒会は受け入れられたようだ。ひとまずは安心していいだろう。


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