11月25日
この学園の生徒会は、成績や周りの評価、そこに少しだけランキングの順位も加わり、選出されている。主に現生徒会が教師と話し合い、本人に直線話を持ちかけることがほとんどだ。決まらなかったときや立候補がいたときは選挙にもなるが、今年は生徒会推薦で決定したようだ。
『これより、生徒会役員着任式を行いたいと思います』
例年より少し遅れた着任式。全のことで色々あり準備が遅れたものの、無事次期生徒会役員を選び出すことが出来た。まずは現会長、陽介がまずステージにあがり、この一年の反省や協力への感謝を述べた。
「至らない点も多々あったと思う。それでも、無事一年を終えることが出来たのは、生徒一人一人のおかげだと思ってます」
『会長辞めないでーっ』
『HとBから守って下さいよぉっ』
「ありがとう。けど、どうか次の役員にその総てを引き継がせてほしい。…まず、生徒会長、2年1組雪見朝」
陽介の紹介するセリフと共に、雪見がステージ脇からあがってきてみんなににっこりと愛想笑いを振り撒いた。現役員がそのまま残ることがほとんどなので特に驚く人はいなく、頑張って、ついていきますと声があがった。
「続いて副会長、2年2組六条邦弘」
「っひ、は、はい…!」
会長が雪見とくれば、同じ2年の六条が副会長になるのも頷ける。しかし何人かは不安げな顔を浮かべ、ひそひそと隣の者同士大丈夫なの?と口々に話し合った。その声は六条の耳にも入り、さらに俯いて生徒の不安を煽ってしまう。
「書記、1年1組麻木シエル」
『シエルくーんっ』
『わっ、こっち見てくれたぁっ』
キラキラオーラを振りまき堂々とやってきたシエルも、雪見のように笑顔を浮かべ手をヒラヒラと振り、愛想を振り撒いた。ここまでの3人は想定内だ。そして例年通り庶務は次期1年生、つまり今の中学3年生から選ぶことになり、名前だけの紹介がされた。
問題は、会計。新しく入る生徒にみんなが期待する中、クラスの列に並んで全とステージの上を見つめていた望は、ハッと気が付いた。
「まっさか永久のやつ…!?」
「ぅ?永久がどうしたの?」
「あ、いや」
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