4 とはいえ、違う人がきたところで全は布団から顔を出すことはないのだが。 『…そんなにここが嫌なら、逃げればいいじゃないか』 「…っ」 『森羅万象なんだ、それくらい簡単だろう?』 「ちが、も、森羅万象、違うも…っ」 確かに、全が本気で脱出しようと思えば出来るのかもしれない。けれど全が力を使ってまで逃げることはきっとしないだろう。男は馴れ馴れしくもベッドに腰掛け、そ、と布団の上から触れてきた。ビクリ、と震える体。男は、触ることを止める気配がない。 『もしBに先見つかってたらどうなってたか…。あいつらは無理にでも力を使わせるだろうな。もしくは、犯して、犯しまくってその力を奪ったか』 「ゃ、…ゃっ」 『まぁ、女だと孕む可能性があるから実際やるかは分からないが、…君みたいに可愛い男なら、よろこんで犯しただろう』 事実、過去の森羅万象にそういった事例がある。Hは保守派としてそこまですることはないものの、こうして守るためと理由をつけ監禁・軟禁することはあったようだ。 そもそも、そばにいるだけでも力は流れてくるのだ。パワースポットのような感覚で森羅万象を祭り上げ、その力の恩恵に預かり、Bを殲滅出来ればいいぐらいは考えている。結局、HはBを潰したいがために森羅万象の力に頼ってくるのだ。 この男も、そう。 『守ってやるんだ。…少しくらい、あいつらとやり合う力を分けてくれよ』 ――バサッ 「ひっ、なに、…やっ、んんぅ!」 森羅万象に対し、興味がなかったわけがない。誰もが何かしてみたいという思いを閉じ込めていた中、この男は実際に行動に移してきた。布団を剥ぎ取り、また無理やり食べさせてくるのかと怯える全に、…そう、キスをした。 男に抵抗はあれど見た目は間近で見ても可愛らしく、そして森羅万象という事実。貪るように口内を犯してくる男に全は必死に抵抗し、歯をたてた。 『い゙っ、…っぐ…』 「はっ、はぁ、…うぇ、やらぁぁっ」 『チッ、…ああでも、凄いな…!』 口の中に広がる鉄の味に舌打ちするも、内から沸き上がってくるような感覚に男は歓喜した。少しキスをしただけでこれだ、何でもやれそうな気分になる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |