11月10日 そしてついに
床を埋め尽くす紙を、大人たちは慎重に見返していく。前回集めた分のデータと、今回集めた分。照らし合わせながら、全国に何万人いるか分からない高校1年生の中に潜んでいるだろう森羅万象を見つけようと、躍起になる。
これだけいるのだ。見つけるのも至難の業だし、ましてや必ず日本にいるとも限らない。能力を使っていれば命を削られ死も早く訪れ、森羅万象の入れ替わるサイクルが早くなることもある。絶対に5年の間が空き、それから先は森羅万象次第。やはりもしかしたらもう、死んでいるのでは…。
『…ん?』
それでも生きているはず。と誰もが死を認めない中、一人がある一人の生徒に目をつけた。今見ているのは聖マリア学園のもの。前回のデータにはいなかった生徒。編入生だろうか。よくよく、調べていく。
その生徒は、確かに編入生だった。珍しいことではない。それに全寮制エスカレーター式の学校の方が少なく、ほとんどの子供が前回のデータと照らし合わせることが難しいのだから。けれど、何か引っかかる。写真もついているが、両目共に黒だ。無能力者と記載されているし、確かに能力者として登録のない子供。けれど、なぜか。
(家族…なし。出身は…)
なんてことない小さな村。けれど何かが引っかかる。その何かはよく分からないし、思い出しそうで出せない。けれど、男の目を引いたのだ。それに目は、正直いってしまえばCGでなんとかなるため、アテにはならない。
出生記録を洗うことやここに記載されている中学校小学校に連絡をとることが必要だ。
『誰か、この子供の過去の記録を洗い出してくれ』
『分かりました』
『怪しい者でもいたか』
『どれどれ、…ん?この子…見たことあるかも…』
『どこでだ!?思い出せっ』
その子供の…全の写真を見た女性が、頭を捻らせる。ここ数ヶ月の話しだった気がする。全にそっくりな子をどこか…テレビか本で見た。どこでなのか。目を瞑り、一つ一つ遡っていって…思い出した。思い出してしまった。
『雑誌です、人気モデルYUKIと一緒に写っていた子に似ています!』
『調べろっ』
『今すぐに!…っ、これか…!?』
『そうですこれです!…あれ?でも…』
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