12 だがそれは喜びを感じるどころか、とても切なくなるもので。とにかく落ち着かせようと康也は聡介の髪や背中を撫でた。 「ねぇ聡介くん、聡介くんにそのつもりがなくてもね、僕らは君にとても救われたんだよ」 「っ…」 「だから、次は僕たちが君を助けたい。…何があったか、話してくれないかなぁ?」 「受け止める覚悟はバッチリだぜ」 「言え、聡介。俺らに全てを吐き出せ」 直接耳へ送り込まれたその言葉は、とても心強く聡介を奮い立たせた。しゃがみ込んで康也に抱きついたまま、聡介は恐る恐る口にした。 なぜこんなにも人に好かれるのを嫌がるのか。それは…。 「……俺に関わると…みんな、不幸な目に合うんだ」 「不幸?」 「始まりは、きっと沙耶だ。妹は…生まれつき体が弱くて、生まれてきてすぐ病気にかかって…」 聡介は、小さな声で話し始めた。康也に甘えるように抱きつきながら、悲しさを堪えるように。 妹・沙耶は、生まれつき体が弱かった。聡介の3つ下。当時のことはよく覚えていないが、小学生のときに聞いて、幼いながらに自分のせいだとショックを受けたのを覚えている。 [*前へ][次へ#] [戻る] |